白氏文集 枕草子 源氏物語 IV 915
「白氏文集」(当然、長恨歌も含まれてます)は「枕草子」に
「書(ふみ)は(白氏)文集・文選(もんぜん)・新賦・史記五帝本紀・
願文(がんもん)・表・(文章)はかせの申文(もふしふみ)」と。
*文集・・・白氏文集 *文選・・・南朝梁の蕭統の詩文 *新詩歌
*「史記」五帝本紀・・・史記の巻一 *願文・・・不明 *表・・・上奏文
*申文・・・願い事などを記し上奏する文書
源氏物語にも第一帖「桐壺」に、こちらは写本1640年刊。
「上達部うへ人などもあひなくめをそばめつつ
いとまばゆき人の御おぼしなり
もろこしにも、かかることのをこりにこそ世も乱れあしかりけれと
やうやうあめのしたにもあぢきなう人のもてなやみぐさになりて
楊貴妃のためしも引き出でつべうなりゆくに
いとはしたなきことおおかれどかたじけなき御心ばへの
たぐひなきをたのみにてまじらひ給ふ」
(国立国会図書館デジタルコレクション 首書源氏物語P30 下段4行目)
江戸時代初期の写本ですから紫式部の記述に近いやも?
ひらがな文字で判読に時間を要すので次は活版印刷版1951年出版。
「上達部・上人なども、あいなく目をそばめつつ、
『いとまばゆき人の御覚えなり。
唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ』と、
やうやう天の下にもあぢきなう、人のもて悩みぐさになりて、
楊貴妃の例も引き出でつべうなりゆくに、
いとはしたなき事多かれど、かたじけなき御心ばへの、
類なきを頼みにて、交らひ給ふ。」
(国立国会図書館デジタルコレクション 対訳源氏物語P7 12行目)
次は「長恨歌」が登場します。
「この頃、明暮(あけくれ)御覧ずる、長恨歌の御絵、
亭子院の描かせ給ひて、伊勢・貫之に詠ませたまへる、
大和言葉(やまとのことのは)をも唐土の詩(うた)(=長恨歌)をも、
ただその筋をぞ、枕言(まくらごと)にせさせ給ふ。」
(国立国会図書館デジタルコレクション 対訳源氏物語P14 3行目)
*亭子院→宇多帝(867~931在887~897)譲位後の御所
*伊勢(872?~938?)・・・宇多帝女御・藤原温子の女房 宇多帝愛人
*貫之→紀貫之(872?~945?)「古今和歌集」仮名序執筆 土佐日記
もう一箇所「楊貴妃」が出現します。
「絵にかける楊貴妃のかたちは、いみじき絵師といへども、
筆限りありければ、いとにほひなし。
大液の芙蓉(たいえきのふよう)、未央の柳(びやうのやなぎ)も、
けに通ひたりしかたちを、唐めいたる粧ひはうるはしうこそありけめ、
なつかしうらうたげなりしを思し出づるに、
花鳥(はなとり)の色にも音(ね)にもよそふべき方ぞなき。
朝夕の言種(ことぐさ)に、羽をならべ枝をかはさむと契らせ給ひしに、
かなはざりける命のほどぞ、つきせず恨めしき。」
(同上 国立国会図書館デジタルコレクション 対訳源氏物語P14 34行目)
訳が下段にありますのでご確認下さい。 続く。
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