信如房さん天寿国繡帳発見 873
いよいよ「天寿国繡帳」の亀の甲400文字が発見されます。
「信如房悦テ夢見タル尼衆ヲツレテユキ二人自(←カラ)宝蔵入テ
宝物ノ中ヲ捜シ見ルニ更万タラ無シ 信如房捜見玉フ事限ナシ
奉行勅使䒭(=等)寺僧達今ハヤ御出△有サノミ久シクハ
何ニヲ御覧スルソトテ腹立ツ信如房泣コト限ナシサテハ
今ハ不ソ求出 空ク還リナントテ二人泣悲ンテ出ントスルニ
古キ舞ノ装束入タル箱途中二有ルヲ押ノケテ
通ラントスレハカラリト鈴ノナル音ス
夢見タル尼衆手ヲ打テ夢見タル尼衆手ヲ打テ
夢ニ見進セシ万タラ二鈴付タリシカ鳴シ音
今ノ鈴ノ音二少シモ不違ト云フ
信如房悦テ此箱ヲアケテ見ルニ件ノ万タラ在ケリ
信如房悦モナヲニ泣 開テ見玉フニ件ノ天寿国ノ万タラ也
二幅リノ絹繍等侍ヘリ 文永十一年二月廿六日
寺僧拝見シ後 兼テノ約束ノ如ク信如房ノ方ヘ渡シ奉ラレ了 略
又此盗人サシテ物モトラヌ入タリケルモ
信如房懇ニ祈請セラレシ今年ノ志ニモア依タリケシ。
文永十一年甲戌二月廿六日サテ信如房此万タラヲ見玉ニ
下ニ亀百アリ亀ノ甲ニ一ニ四ツノ文字アリ 合テ四百ノ文字アリ
乱脱ニ入レシタル間 人是ヲエヨマス。
此国中ニハヨム者更ニナシ。
信如房ヲハ京鎌倉貴モ卑モ皆知タル明人也
此万タラヲ読セ奉シカ為京都ニ持登リ玉フ
尔(←ソ)ノ此ハ天下二文者学生ノ聞ヘ有ケルハ
俗ニハ花山院ノ中納言藤原ノ諸継(←モロツク)ノ公
法師ニハ霊山ノ定円法印二人也ケリ
信如房京都ニテ縁ヲ取リ此両人ヲ一処ニ請シヨセテ
此ノ四百ノ文字ヲ読ノヘセ玉フ
両人共ニ一反(=旦)拝見ノ後 別所ニ籠リ居テ二人ナカラ
是ヲノヘントシ玉フ 何レカ前ニノヘ何レカヨク
明ラメ玉ハンス覧ト思ケルニ
何レモ天下ノ名物ナレハ宜(←ノフハ)ラク 子細ナシ
嬖女ノ麻ノ糸ノ乱レアヘルヲ頭(←ハシ)ヲ知テヨリ捲シノフルカ如シ
乱レアイタレ共以助目ノユキ様ヲ勘ヘ文字ノ続(←ツゝキ)ヲ
ヨクシリ義道二明ナレハ何レモ程ナリノヘヲ出スナトモ不違。
サレ共法師二カタス習ニテ定円法師今少シトクノヘテ出シケリ
両人ノ演ル取文字一モ差一モ不違 トアヘリ
両人共ニ明物ノ至リ是ヲ不誉 ト云者無リケリ」
《赤字 △は不明 漢字・振り仮名に誤謬あるやもお気をつけて。》
(東京国立博物館 デジタルライブラリー 太子伝聖誉抄下P49 6行~)
詳細は来週に。 続く。
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