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2023年6月24日 (土)

天寿国繍帳 亀の甲四文字3 858

「歳在辛巳十二月廿一癸酉日入 孔部間人母王崩
 明年二月廿二日 甲戌夜半太子崩
 于時多至波奈大女郎 悲哀嘆息白 畏天皇前曰
 啓之雖恐 懐心難止使 我大王与母王
 如期従遊痛酷无比 我大王所告 世間虚仮 唯仏是真
 玩味其法 謂我大王応生於天寿国之中
 而彼国之形 眼所叵看 悕因図像 欲観大王往生之状
 天皇聞之 悽然告曰有一我子 所啓誠以為然
 勅諸采女等造繡帷二張 画者 東漢末賢 高麗加西溢
 又漢奴加己利 令者 椋部秦久麻」 
刺繍された方々に敬意を払い、読み下します。
*歳在辛巳(ほしは かのとのみのとしに あり)=621年
*十二月廿一癸酉日入
 (しはすのはつかひとひの みづのとのとりの ひいりのときに
*孔部間人母王崩(あなほべはしひとのははみこ かむさります
*明年二月廿二日 甲戌(あくるとしのきさらきのはつかふたひの きのえのいぬ
*夜半太子崩(よなかに ひつきのみこ かむさりたまひぬ
*于時多至波奈大女郎(そのときに たちはなのおほいらつめ
*悲哀嘆息白 畏天皇前曰
 (ヒアイタンソクし かしこみてすめらみことめのみまへに まをしてまふしく
*啓之雖恐 懐心難止使
 (これをいふはおそるありといえども おもふこころやみかたし
*我大王与母王(わがおほきみとははみこは
*如期従遊痛酷无比(ちぎりしごと かみさりまして いたましきことこれなし
*我大王所告 世間虚仮 唯仏是真
 (わがおほきみの のたまひけらし よのなかはコケ ただほとけのみ これしんなりと
☆虚仮・・・仏語。真実でない事。又、外面と内心とに相違がある事。。
(日本国語大辞典 小学館)
*玩味其法 謂我大王応生於天寿国之中
 (そのみのりてふかくあじあふに わがおほきみテンジュコクのなかに
   むかれましまさむとぞおもふ
☆天寿国・・・無量寿国で極楽の事。(日本国語大辞典 小学館)
*而彼国之形 眼所叵看
 (しかしてかのくにのかたちは めにもめかたきところなり
*悕因図像 欲観大王往生之状
 (ねかはくはズゾウにより おほきみオウジョウしたまひしさま みむとおもふと
*天皇聞之 悽然告曰 有一我子 所啓誠以為然
 (すめらみこと これきこしめして いたみたまひて のたまはく
   ひとりのひつきのみこあり まちすところ まことにもってしかおもふとのたまひき
*勅諸采女等 造繡帷二張
 (もろもろの うねめともに みことのりして
   ぬいものかたひらふたはりを つくらせたまふ
*画者 東漢末賢 高麗加西溢 又漢奴加己利
 (ゑかけるひとは やまとのあやのまけん こまのかせい またはあやのぬかこり
*令者 椋部秦久麻(うなかせるものは くらべのはたのくま
★ルビは「上宮聖徳法王帝説」に振ってあるものです。
国立国会図書館 電子図書館 上宮聖徳法王帝説 P15 4行~)

以上になります。 続く。

Botan

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2023年6月17日 (土)

天寿国繍帳 亀の甲四文字2 857

天寿国繍帳の亀の甲四文字「部間人公」が出現しました。
橘大女郎さんはお婆さんの推古帝にお願い、職人さん達に
刺繍文字で夫(厩戸皇子)と義母(穴穂部間人大后)を
偲び、後の私たちに情報を残してくれたのです。
固有名詞(人名)と、動詞「治・為・生・娶」で構成された単純な文章。
この文章を亀の甲に四文字づつ刺繍、
文頭の「斯帰斯麻」から「宮治天下」→「天皇名阿」→「米久爾意」→
と次々と針を刺し文字を作成していったのです。
部間人公」は「生名孔 『部間人公』主(=穴穂部間人皇女)」の
一部分になります。
(先週紹介の刺繍文字、四文字づつ普通・太い文字順にしました。)
尚、この文章は四百文字で綴られており、亀さんは百匹必要に。
但し、現存する「四文字亀さん」は僅かで。全容を解明する事、及び、
真偽を確認できないのがとても残念に思います。
因みに、「中宮寺 天寿国曼荼羅繍帳」の画像スライドショーで
2番目右に「部間人公」亀さん、
2番目左に「皇前曰啓」亀さん、4番目に「于時多至」亀さんが存在。
(3番目左の《頭欠損》亀の文字は読み取れません。)
于時多至」と「皇前曰啓」は先週からの続きに登場します。
(今一度「中宮寺 天寿国繡帳」をご確認下さい。)

歳在辛巳十二月廿一癸酉日入 孔部間人母王崩
 明年二月廿二日 甲戌夜半太子崩
 于時多至波奈大女郎 悲哀嘆息白 畏天皇前曰啓
 之雖恐 懐心難止使 我大王与母王
 如期従遊痛酷无比 我大王所告世間虚仮 唯仏是真
 味其法 謂我大王応生於天寿国之中
 彼国之形 眼所叵看 悕因図像 欲観大王往生之状
 天皇聞之 悽然告曰有一我子 所啓誠以為然
 勅諸采女等造繡帷二張 画者 東漢末賢 高麗加西溢
 又漢奴加己利 令者 椋部秦久麻

4文字づつ100亀の甲に400文字がきっと以て、
その当時は燦然と輝く刺繍をなされていたのでしょう。
このお仕事には脱帽、繊細な感性に驚きを隠せません。 続く。

Botan

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2023年6月10日 (土)

天寿国繍帳 亀の甲四文字1 856

先週、中宮寺の「天寿国繍帳」について紹介しました。
もう一度「亀の甲(羅)の部分刺繍」をご覧下さい。
日本最古刺しゅう復元 奈良・中宮寺に奉納、一般公開へ
(日経Web) こちらの下の画像をクリックして下さい。
亀の甲に四文字が刺繍されています。
基本的に昔の「漢文・和文」は縦書き・右→左読みが原則です。
画像亀の甲文字を読んでみます。
」となります。下記が以前「中宮寺 天寿国繡帳」で
厩戸大王(皇子)が亡くなった箇所の前文になります。

「斯帰斯麻宮治天下天皇 名阿米久爾意斯波留支比里爾波乃彌己等
 娶巷奇大臣 名伊奈米足尼女 名吉多斯比彌乃彌己等為大
 生名多至波奈等已比乃彌己等
 妹名等已彌居加斯支移比彌乃彌己等
 復娶大后弟 名乎阿尼乃彌己等為后 生名孔部間人公
 斯帰斯麻天皇之子 名蕤奈久羅乃布等多麻斯支乃彌己
 娶庶妹名等已彌居加斯支移比彌乃彌己等為大后
 坐乎沙多宮治天下 生名尾治王 多至波奈等已比乃彌己等
 娶庶妹名孔部間人公主為大后 坐瀆辺宮治天下
 生名等已刀彌彌乃彌己等 娶尾治 大王之女
 名多至波奈大女郎為后 歳在辛巳十二月廿一 癸酉日入」
国立国会図書館 電子図書館 上宮聖徳法王帝説 P14 9行~)

*斯帰斯麻宮(しきしまのみや)・・・磯城嶋(しきしま)金刺宮(日本書紀)
 現在の奈良県桜井市慈恩寺に比定されています。
*阿米久爾意斯波留支比里爾波乃彌己等→欽明帝
 (あめくにおしはるきひろにはのみこと)・・・天国排開広庭尊(日本書紀)
*巷奇(そが=蘇我)大臣
*名伊奈米足尼女(みなは いなめのすくねのむすめ)・・・稲目宿祢の娘
*名吉多斯比彌乃彌己等(みなは きたしひめのみこと)・・・堅塩媛尊
*大后(おほきさき)=堅塩媛尊(日本書紀)
*名多至波奈等已比乃彌己等→用明帝
 (なはたちはなとよひのみこと)・・・橘豊日尊(日本書紀)
*妹名等已彌居加斯支移比彌乃彌己等→推古帝
 (いもとのみなはとよみけかしきやひめのみこと)・・・豊御食炊屋姫尊
*娶 大后弟 名乎阿尼乃彌己等・・・小姉尊(日本書紀)
 (おほきさきのいもとみなはをあねのみことをめあわして
*為后(きさきとなす
*生 名孔部間人公主・・・穴穂部間人皇女(日本書紀)
 (みなはあなほべはしひとのひめみこをうます
*斯帰斯麻天皇之子(しきしまのすめらみことのみこ
*名 蕤奈久羅乃布等多麻斯支乃彌己等→敏達帝
 (みなは ぬなくらのふとたましきのみこと)・・・渟中倉太珠敷尊(日本書紀)
*娶 庶妹名等已彌居加斯支移比彌乃彌己等 為大后(=推古帝)
 (ままいもみなはとよみけかしきやひめのみことをめあわして おほきさきとなす
*坐 乎沙多宮 治天下 生名尾治王
 (をさたのみやにましまして あめのしたしろしめす みなはをはりのみこをうます
*多至波奈等已比乃彌己等
 (たちはなとよひのみこと
*娶 庶妹名孔部間人公主為大后
 (ままいもみなはあなほへはしひとのひめみこをめあわして おほきさきとなす
*坐瀆辺宮治天下→池辺双槻宮(いけのへのなみつきのみや日本書紀)
 (いけのへのみやにましまして あめのしたしろしめす
*生 名 等已刀彌彌乃彌己等→厩戸豊聡耳皇子(日本書紀)
 (みなはととよとみみのみことうます
*娶 尾治大王之女名多至波奈大女郎 為后→橘大女郎
 (をはりのみこのむすめ みなはたちはなのおほいらつめをめあわして きさきとなす
★ルビは「上宮聖徳法王帝説」に振ってあるものです。  続く。

Botan

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2023年6月 3日 (土)

三度 中宮寺 聖徳太子二歳像着替え 855

今週、「中宮寺~聖徳太子二歳像公開~」イベントがありましたので
急遽、こちらの話題を差し込みます。
以前、「中宮寺 天寿国繡帳」にて
豪華絢爛な「天寿国曼荼羅繍帳」を紹介しました。
この度、上記の刺繍を「羅」に施した再現刺繍が制作されました。
「日本最古刺しゅう復元 奈良・中宮寺に奉納」(日経Web)

「被衣(かつぎ)」に天寿国繡帳の一部が装飾されています。
刺繍の大部分は「中宮寺 天寿国繡帳の左上」から抽出されています。
被衣左袖の「お月さま」(うさぎさんもいます)は確認できますが、
被衣右袖の「お日さま」は「天寿国曼荼羅繍帳」には存在しません。
(奈良国立博物館に収納されている天寿国繡帳にあるのやも?)
見頃中央には「鳳凰」・「亀」・「飛天女」・「雲」・「唐草」等々。
裾は「中宮寺 天寿国繡帳の左上から二枚目」の柄が。

尚、5/17に
「上皇・上皇后様」が修復された「中宮寺」を訪問されています。
お二人は「菩薩半跏像(伝如意輪観音)」に拝礼され、
「聖徳太子二歳像」の新たな、お召し物「刺繍被衣」をご覧になったと。
「歴史文化に思い寄せ 上皇ご夫妻 4年ぶり来県」
(讀賣オンライン 奈良版)

又、6/01に
「古代刺しゅう「天寿国繍帳」復元し衣に 中宮寺に奉納」(日経Web)
こちらは「お着替え前の聖徳太子二歳像のお召し物」です。(中宮寺)
*聖徳太子二歳像(=南無仏太子立像)《奈良国立博物館》
 続く。

Botan

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