« 匈奴の習俗 古事記神話に 720 | トップページ | 冒頓単于は合理→冷静沈着 722 »

2020年5月 9日 (土)

匈奴単于の冒頓に東胡が干渉 721

匈奴人で一番著名なお方は「冒頓(ぼくとつ)(B.C.?~B.C.174)」さん。
かの時代、中央アジア・モンゴル大草原は
「匈奴」の西に「月氏」、東に「東胡」(両方共に中国名)と
呼ばれていた遊牧騎馬民族が存在していました。
*月氏
中国、春秋時代から秦・漢代にかけて、中央アジアで活躍した
遊牧民族。トルコ系、イラン系、またはチベット系ともいわれる。
*東胡
(「胡」は中国で辺境の異民族に対する蔑称) 東方の異民族。
特に、春秋時代から東蒙古に現われた狩猟遊牧民をいう。
(日本国語大辞典 小学館)
彼は故有って父を殺害し、部族長(単于=王)になります。
冒頓が単于(ぜんう)になった際、東の「強盛」な部族「東胡」は彼に
干渉(ちょっかいを出した)したのです。
その時の状況が「史記 巻百十一 匈奴列伝 第五十」に。

「冒頓既立 是時東胡強盛 聞冒頓殺父自立 乃使使謂冒頓
 欲得頭曼時有千里馬 冒頓問群臣
 群臣皆曰
 千里馬 匈奴宝馬也 勿与
 冒頓曰
 奈何与人隣国而愛一馬乎
 遂与之千里馬
 居頃之 東胡以為冒頓畏之 乃使使謂冒頓
 欲得単于一閼氏 冒頓復問左右
 左右皆怒曰
 東胡無道 乃求閼氏 請撃之
 冒頓曰
 奈何与人隣国愛一女子乎
 遂取所愛閼氏予(=与)東胡
 東胡王愈益驕 西侵 与匈奴間 中有棄地 莫居 千余里
 各居其辺為甌脱
 東胡使使謂冒頓曰
 匈奴所与我界甌脱外棄地 匈奴非能至也 吾欲有之
 冒頓問群臣 群臣或曰
 此棄地 予之亦可 勿予亦可
 於是冒頓大怒曰
 地者国之本也 奈何予之
 諸言予之者 皆斬之 冒頓上馬 令国中有後者斬 遂東襲撃東胡
 東胡初軽冒頓 不為備 及冒頓以兵至撃 大破滅東胡王
 而虜其民人及畜産」

読み下しは国立国会図書館「和訳史記列伝 下巻」でご確認を。
東胡は若き冒頓単于に先ず、駿馬(「千里馬」)を要求、
彼の取り巻きは我々遊牧民に取って駿馬は「宝」故、送る勿れと進言。
それに対し、冒頓はあっさり隣国のよしみと東胡へ贈答。
これに東胡は冒頓が自分たちを畏れていると思い、更なる要求を。
今度は冒頓の奥様(「閼氏」=単于の后妃の号)のお一人を所望。
これにはさすが取り巻きは激怒、戦も辞さじと。
しかし、冒頓はこれまた情け容赦もなく躊躇せずに愛妃を見捨てます。
(奥様が沢山いらっしゃる殿方でもこれはちょいと許せません。)
「ムッ」としましたので次なる展開は来週に。 続く。

|

« 匈奴の習俗 古事記神話に 720 | トップページ | 冒頓単于は合理→冷静沈着 722 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 匈奴の習俗 古事記神話に 720 | トップページ | 冒頓単于は合理→冷静沈着 722 »