後漢書の倭国に対する改竄 705
遅ればせながら、「迎春」。
皆様におかれましては「良いお年」をお迎えの事。
本年も相変わらず宜しくお願い致します。
それでは、昨年からの続きです。
陳寿さんがお書き下さった「三国志魏書 魏三十(倭人伝)」の後に
「倭国・倭人」が登場する中国王朝正史は
「後漢書(東夷列伝、光武帝紀等)」になります。
これらにつきましては、
「後漢書東夷列伝 倭国関連記述」
「57年・107年奴国・倭国朝賀参列」 をご確認下さい。
以前お話ししましたように
「三国(魏・蜀・呉)志」 陳寿(233~297)(晋)298年頃撰
「後漢書」 范曄(398~445)(南朝宋)432年以降頃撰
制作年と時系列が逆になっています。
従って、
范曄(はんよう)さんは後漢時代の記述を
陳寿さんの「三国志」を手本として
時代考証から修正・加筆・省略等を施しています。
例えば、倭国の所在地
後漢書
「倭在韓東南大海中 依山島為居 凡百余国 自武帝滅朝鮮
使駅(訳)通於漢者三十許国 国皆称王 世世伝統」
三国志(三国志魏書 魏三十(倭人伝))
「倭人在帯方東南大海之中 依山島為国邑 旧百余国 漢時有朝見者
今使訳所通三十国 従郡至倭」
漢王朝時代に「帯方郡」が存在していませんので
范曄さんは「韓国」と改めています。
又、魏・蜀・呉時代に「使訳(使者・通訳)」の交流があった倭人国が
30国としているのに対し、後漢時代に30余国としてしまっています。
范曄さんの改竄には恐れ入ってしまいます。 続く。
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