管理官の大倭と一大率 699
「租賦を収む 邸閣有り 国国は市有り 有無を交易す」に続き、
「使大倭監之」(大倭をして之を監せしむ)と記述されています。
租税、及び、市(市場)の管理は「大倭」が仕切っていたと。
この「大倭」は役職なのか役名なのかは不明ですが各国の管理権限を
持っていたと思われます。
更に、
「自女王国以北 特置一大率検察 諸国畏憚之」
(女王国より以北は 特に一大率を置き検察し 諸国はこれを畏憚す)
*畏憚・・おそれて気をつかい、遠慮すること。
(日本国語大辞典 小学館)
ここの「以北」は疑問ですが、
斯馬国 已百支国 伊邪国 都支国 彌奴国 好古都国 不呼国
姐奴国 対蘇国 蘇奴国 呼邑国 華奴蘇奴国 鬼国 為吾国 鬼奴国
邪馬国 躬臣国 巴利国 支惟国 烏奴国 (奴国)
の各国に対する「検察(査察)」を「一大率」が担当していたと。
続いて、
「常治伊都国於国中有如刺史 王遣使詣京都
帯方郡諸韓国及郡使倭国 皆臨津捜露
伝送文書賜遺之物詣女王 不得差錯」
*差錯
いり乱れること。くい違うこと。転じて、誤り。間違い。手違い。
この「一大率」は「伊都国」に常駐。
(一大率も役職なのか役名なのかは不明)
一大率はまるで「魏・晋」に於ける「刺史(監察官)」のようであったと。
又、一大率は「王遣使」の洛陽、帯方郡、韓国出張、及び、
「(帯方)郡使」が倭日した際、港へ赴き手荷物検査を行った。
特に郡使の「文書・賜遺之物(贈答品)」は女王へ上申(ご連絡)。
手違いは決して許されなかったと。
かの(否、どの)時代の「管理官」もミスは以ての外だった。 続く。
| 固定リンク
コメント