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2019年10月19日 (土)

倭人の国々に租賦と邸閣 697

「法」の存在の次に下記の様に記されています。

「收租賦 有邸閣 国国有市 交易有無」
「租賦を収む 邸閣有り 国国は市有り 有無を交易す」
*租賦・・田畑の租税
*邸閣・・米倉

これにより倭人の国々には
1 農作物を「税」として徴収する制度とそれを「保管する倉」の存在
2 各国々に「市」があり「交易」をしていた事実
が認められます。
曲がりなりにも「市場経済」・「税制度」と「法」が確立していた事から、
かの時代の倭人の「国」は吉本隆明さんがおっしゃるところの
「<国家>とよびうるプリミティヴな形態は、
 村落社会の<共同幻想(=上部構造)>がどんな意味でも、
 血縁的な共同性から独立にあらわれたものをさしている。 中略
 同母の<兄弟>と<姉妹>の間の婚姻が、
 最初に禁制になった村落社会では
 <国家>は存在する可能性をもったということができる。」
(共同幻想論 P239~240 吉本隆明 角川文庫)
*上部構造
(ドイツ Überbau の訳語) 社会の経済的な土台である下部構造の上
に、下部構造による制約を受けて形成されるもの。政治的・法律
的・哲学的・道徳的・美的・宗教的な社会的観念ないし意識形態
(=イデオロギー)と、それに対応する組織や制度。いったん成立
すると、下部構造に逆に作用して、その発展を早めたり遅らせた
りする役割を果たす。 (日本国語大辞典 小学館)
この吉本さんが云う「国家」時代を既に、脱し
かなり高度な「国家共同体」を形成していた事になります。
陳寿は自国(魏・晋)に代表される「覇権国」とは全く異なるものの
「倭人の国々を邪馬壹国を中心とする
 統一部族連合国(呪術宗教的遺制付)」であったと述べている事に。
「呪術宗教的遺制付」ってとても味わい深く、
「日本人の感性・文化の源」と思われませんか? 続く。

尚、「邸閣」について、
「魏志倭人伝にみえる「邸閣」の同時代的意味」にて
門田誠一(仏教大学)さんが詳しく論述されています。

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