龍と王権威(力)との融合 686
「宮廷儀礼」を企画・制作(プロデュース)した夏商集団。
その夏商集団が巧妙に仕掛けたブラフ演出とは。
1 他部族の文化を貪欲に取込・吸収した事
夏商集団リーダーの「影響力」が遠方迄及んでいる状況を現前。
又、夏商集団が信仰していた「水神=龍」を権威付けアイコン化。
2 夏商集団リーダーと他部族首長らと対面した事
これはそれ迄の(幻想)神を信仰対象とせず、
生身のリーダーにひれ伏す事で現人神化の示現。
3 対面儀礼に於いて歴然と身分格差を表出
A 夏商集団リーダー
B 壇上に登れる僅かな方
C 庭で下から見上げ・見守る圧倒的な方々
このA・B・C 3者の位置関係は明白な身分固定を表象。
これらに依り、夏商集団リーダーは
多彩な文化の頂上に君臨、
他部族の反乱企図を萎えさせ、
祖先神?龍を象徴とし、
「絶対権威(力)=現人神幻想」を他部族・他者に植え付けたのです。
故に、夏商集団リーダーは「夏王」になり得たのです。
「夏王朝」は二里頭遺跡の調査・研究で400年以上続いた王朝と
認定・確定されました。
この「宮廷儀礼システム」成立は最初からではないにしても
「夏王朝」を連綿と継続・持続させた秩序体系に他ありません。
この「宮廷儀礼」は広大な中国大陸、及び、多数の異部(民)族を
束ね・纏める「礎」となりました。
「宮廷儀礼」=「龍と王権威(力)」のフュージョン(fusion=融合)は
後の王朝(商=殷<B.C.1600>~清<1912>)に脈々と引き継がれたのです。
「『龍』に選ばれし者こそが中国大陸を治める覇者(王)となる」
と云う物語も後に造られた程です。
時を経ても、畏敬の念を抱かせる「宮廷儀礼と龍アイコン」に。
先に「龍(自然を超越した力の象徴<アイコン>)」を「自然神」ではなく、
「祖先神?」としたのは司馬遷の「史記」に記述されているからです。
「禹於是遂即天子位 南面朝天下 国号曰夏后 姓姒氏」
(史記 巻二 夏本紀二)
禹が夏(后)王朝の始祖とされています。
一方、禹は黄河流域の治水事業で功を立て、「水神⇒龍神」とされる
伝説上のお方では?
これも、どこかでフュージョンしているのかしらん?
又、あの雨上がりの美しい「虹」も(雄)龍と思われていたのですよ。
(「蜺」こちらも「にじ」で雌龍です。) 続く。
史記 卷二 夏本紀二の原文はこちらでご確認下さい。
(国立国会図書館 電子図書館蔵書 「史記 夏紀」7行)
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