張華 陳寿(壽)の才を愛す 672
陳寿(壽)は268年西晋の役人に途用されます。
晋書には、
「司空張華愛其才 以寿雖不遠嫌
原情不至貶廃 挙為孝廉 除佐著作郎 出補陽平令」と。
「張華」につきましては、今となっては昔、むかし5年前に少しだけ
紹介しました。
「烏丸鮮卑東夷傳(伝)」
張華が陳寿(壽)の才能をこよなく「愛」したと記述されています。
陳寿(壽)の風貌ではなく
「才」ですから張華は決して男色でありません。
因みに「愛す」ですが、日本国語大辞典(小学館)では
愛する
一 人や動物に対して心が引かれる場合。
① 非常に気に入って、いちずにかわいがる。寵愛する。
② 好意を相手への行動として示す。また、特に、なでさする。
愛撫する。
① (男女の間で)慕わしく思う。好きだという気持になる。
恋しく思う。
二 物事に対して心が引かれる場合。
① 貴さ、美しさなどを感じて、強く好きに思う。
② 美しさ、おいしさ、良さなどを好んでそれを楽しむ。愛好する。
賞美する。
三 (一説、相する)適当に扱う。子供などのきげんをとる。
四 (キリスト教で)神があらゆるものをいつくしむ。またそのよ
うな精神で、自分以外のものをかけがえのないものと思う。
[語誌]
(1)対象となるのは人・動植物・物事などさまざまであるが、対象
への自己本位的な感情や行為を表わすことが多い。また、人に
対して使う場合は目上から目下へ、強者から弱者へという傾向
が著しかった。
(2)明治中期 英 love ドイツ lieben などの翻訳語として採用され、
西洋の「愛」と結びついた結果、
人に対しては、対等の関係での愛情を示すようになる。
と説明されています。
当然、時代的に「love(ラヴ)・lieben (リーベン)」ではありません。
どの説明もしっくりしないと思いませんか?
「したしみを感じる」がなんとはなしにしっくりすると思いますが。
張華と陳寿(壽)の年の差はたったの1歳で同年代。
違いは魏~晋官僚歴。張華はバリバリ、陳寿(壽)は新人。
しかしながら、問題は「才能」。
張華は陳寿(壽)のほとばしる「才知・才覚」に感じ入ったのでしょう。
陳寿(壽)は彼のお陰で「佐(副)著作郎」職を得る事に。
*著作郎・・中書省に属して国史の編集や制作を司る職務
*中書省・・詔勅の立案・起草等を掌る役所
続く。
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