「孫子」兵法 少しだけ 2 613
先週紹介しました「魏武帝註孫子 始計第一」の続き。
夫未戰而廟勝者
得算多也
未戰而廟算不勝者
得算少也
多算勝
少算不勝
而況於無算乎
吾以此觀之
勝負見矣
(国立国会図書館 電子図書館蔵書 「魏武帝註孫子」 17行)
この箇所が「魏武帝註孫子 始計第一」の結論になります。
孫子 始計第一の書き出し「兵者國之大事」、途中の「兵者詭道也」、
最後の「勝負見矣」により孫武は兵法を言い尽くしています。
「兵者国之大事」
「兵(=兵を集めて戦いを起こす事)」は国家の重大事である。
「『孫子』 町田三郎訳注 中公文庫」ではこの「兵」を「戦争」と
訳されています。
戦争とは
軍隊と軍隊とが、兵器を用いて戦うこと。
特に、国家が他国(交戦団体を含む)に対し、
政治的意思を貫徹するためにとる最終的かつ暴力的手段。
(日本国語大辞典 精選版 小学館)
と説明されています。
「戦争」をこのように規定すると
孫武の論理・論述展開がおかしな事になってしまいます。
「兵=戦争」を「戦闘」と考えず、
「国家間の争い事」と捉えるほうが良いと思われます。
そうすると、次の
「兵者詭道(きどう)也」がスッキリします。
国家間の争い事は「詭道」なり。
町田氏はここを
「戦争とは、詭道つまり敵の意表をつくことをならいとする」と訳。
詭道とは
人をいつわりあざむく方法。正しくない手段。
(日本国語大辞典 精選版 小学館)と。
相手を偽り欺くことは相手が孫子を知らなければ「意表を突く」ことに
なりこちらの訳はその通りになります。
但し、あくまでも、
「相手が孫子の『兵者詭道也』を知らない事」が条件です。
そして、最後の結論である
「吾以此観之 勝負見矣」
「以上のような観点から、勝敗のゆくえをはっきり見抜くことができるの である」(「『孫子』 町田三郎訳注 中公文庫」p12)
「戦闘に突入する以前の「戦争情報分析会議」で冷静・沈着に
判断できれば自ずとこの『争い事の勝敗』が解き明かせる。」と
孫武は明言しています。 続く。
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