袁祁命・大魚 vs. 志毘臣 563
市辺之押歯王の奴末のお二人が高木角刺宮でお過ごしになり
将に帝位につかれる前の出来事。
登場人物は
「平群臣之祖名志毘(しび)臣」
「袁祁命(をけのみこと)=奴末、弟(後の顕宗帝)」
「菟田首(うだのおびと)等之女名大魚(おふを)」
の男性二名と女性一名。
シーンは「歌垣」。
「歌垣」は今の合コン+愛を交わすスポット。
袁祁命と大魚は既に結婚を約束している間柄。
にも関わらず、このお二人イベント参加は婚前交渉狙い?
それでは、物語を進行する事に。
手が早い?志毘さんが
いきなりその美しいお嬢さん、大魚さんの手を取り促したのです。
は袁祁命と大魚さんとの関係を知っていたにも関わらず
大魚さんにモーションをかけたのです。
そして、袁祁命へ「歌」で攻撃を仕掛けます。
意冨美夜能(おほみや〈大宮〉の)
袁登都波多傳(をとつはたで〈端手〉)
須美加多夫祁理(すみ〈隅〉かたぶ〈傾〉けり)
「おまえんちの軒の隅が傾いているぞー。」と
志毘は詠じ、これに続く「歌」を袁祁命に要求します。
この光景をご覧になっておられた袁祁命は泰然自若で返します。
意冨多久美(おほたくみ〈大匠〉)
袁遲那美許曾(をぢな〈拙劣〉みこそ)
須美加多夫祁禮(隅傾けれ)
「『大匠』大工の親方が下手だったからちょいと傾いているんじゃー。」
これに対し、志毘が
意冨岐美能(おほきみ〈大君〉の)
許許呂袁由良美(こころ〈心〉をゆら〈暖〉み)
淤美能古能(おみ〈臣〉のこ〈子〉の)
夜幣能斯婆加岐(やへ〈八重〉のしばかき〈柴垣〉)
伊理多多受阿理 (い〈入〉りた〈立〉たずあり)
「お前の意思が緩(ゆる)いから、俺の所にこれないだろ?」と
袁祁命が返します。
斯本勢能(しほせ〈潮瀬〉の)
那袁理袁美禮婆(なを〈波折〉りをみ〈見〉れば)
阿蘇毘久流(あそ〈遊〉びく〈来〉る)
志毘賀波多傳爾(しび〈鮪〉がはたで〈端手〉に)
都麻多弖理美由(つま〈妻〉た〈立〉てりみ〈見〉ゆ)
「よく見れば、お前のめっちゃ端に私の愛する大魚がいるじゃないか」
端にいると云われ、憤慨した志毘が
意冨岐美能(大君の)
美古能志婆加岐(みこ〈御子〉の柴垣)
夜布士麻理(やふじまり)
斯麻理母登本斯(しまりもとほし)
岐禮牟志婆加岐(き〈切〉れむ柴垣)
夜氣牟志婆加岐(や〈焼〉けむ柴垣)
「お前と大魚との絆はいとも簡単に切れてしまうさ」と
勢い、袁祁命が返します。
意布袁余志(おふを〈大魚〉よし)
斯毘都久阿麻余(鮪つ〈突〉くあま〈海女〉よ)
斯賀阿禮婆(しがあれば)
宇良胡本斯祁牟(うら〈心〉こほ〈恋〉しけむ)
志毘都久志毘(鮪(=志毘)突くしび〈志毘〉)
「鮪(まぐろ)突く海女(=大魚)さんがいなくなったら心寒くなる、
彼女がいるから恋しいのだ。
鮪は結局突かれるのだ。志毘自身が鮪(=志毘)を突くのさ。」
とやり合い・闘いながらながら3人は夜明かしをし
住まいに朝帰りする事に。 続く。
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