倭の高市は都市国家地区 558
雄略帝(大長谷若建命)と伊勢国の三重采女さんとのやり取りを
ご覧になっておられた大后(大日下王之妹若日下王)が一歌。
夜麻登能(やまと〈倭〉の)
許能多氣知爾(このたけち〈高市〉に)
古陀加流(こだか〈小高〉る)
伊知能都加佐(いち〈市〉のつかさ〈丘〉)
爾比那閇夜爾(にひなへや〈新嘗屋〉に)
淤斐陀弖流(お〈生〉ひだてる)
波毘呂(はびろ〈葉広〉)
由都麻都婆岐(ゆつまつばき〈椿〉)
曾賀波能(そがは〈葉〉の)
比呂理伊麻志(ひろりいま〈坐〉し)
曾能波那能(そのはな〈花〉の)
弖理伊麻須(て〈照〉り坐す)
多加比加流(高光る)
比能美古爾(日の皇子に)
登余美岐(とよみき〈豊御酒〉)
多弖麻都良勢(たてまつらせ)
これに対し、雄略帝(大長谷若建命)は
毛毛志紀能(ももしきの)
淤冨美夜比登波(おほみやひと〈大宮人〉は)
宇豆良登理(うづらとり〈鶉鳥〉)
比禮登理加氣弖(ひれ〈領巾〉と〈取〉りかけて)
麻那婆志良(まなばしら〈鶺鴒=セキレイ〉)
袁由岐阿閇(を〈尾〉ゆ〈行〉きあ〈合〉へ)
爾波須受米(にはすずめ〈庭雀〉)
宇豆須麻理韋弖(うづすまりいて)
祁布母加母(けふ〈今日〉もかも)
佐加美豆久良斯(さか〈酒〉みづくらし)
多加比加流(高光る)
比能美夜比登(日の宮人)
大后の歌で、
倭のこの「高市」に、小高る「市」の丘と表現されています。
「市」は商品を交換・売買する所。
当然、その所には人々が集まり経済行為が活発になります。
否、逆で権力者、及び、
権力者の取り巻き(「宮人」)らが「市」場を作り管理し
取引税を徴収する構造の場所、所謂、「都市国家」の原型。
故に、人々は「利得」を求めこの場所に結集するのです。
そのような地区での権力者の市場兼邸宅での宴会場での情景描写。
現在この地区は「奈良県高市郡明日香村」と面影が。
それはさて置き、歌は大后の雄略帝をよいしょと
雄略帝の役人(宮人)への気遣い。
伊勢国の三重采女さん・大后・天皇の歌は「天語歌」とか。
何れにせよ、三重采女さんは機転の利いた歌で命拾いしただけでなく
気をよくした雄略帝(大長谷若建命)に沢山のご褒美を頂けたとの事。
続く。
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