百枝槻の葉 大盃に浮かぶ 555
先ずは又、雄略帝が女性に恋したお話し。
この度は「春日」へお出まし。
お相手は
「丸邇(わに)之佐都紀臣」のお嬢さん「袁杼姫(をとひめ)」さん。
雄略帝が彼女のお住まいへ向かっている途中の出来事。
袁杼姫さんがその一行に出くわし、あわてて小高い「岡=丘」へ
逃げ隠れたとか。
そこで雄略帝が一歌。
袁登賣能(をとめ〈乙女〉の)
伊加久流袁加袁(いかく〈隠〉るをか〈丘〉を)
加那須岐母(かなすき〈金鉏〉も)
伊本知母賀母(いほちもがも)
須岐婆奴流母能(鉏ばぬるもの)
彼女が隠れた丘を金鉏で崩し、いち早く彼女に逢いたい情景詩。
次なるお話は長谷で催した「豊楽(=宴会)」での出来事。
宴会場は「百枝槻(ももえつき)」の緑茂る樹の下。
雄略帝に一献を差し上げたお方が「伊勢国之三重采女」さん。
彼女は先ず、雄略帝に「大御盞(=大盃)」を捧げ献上します。
その大盃にたまたま「百枝槻」の葉が枝から落ちてしまったそうな。
それを全く知らない采女さん。
雄略帝の大杯にお酒を注ぐお仕事に勤(いそ)しみます。
雄略帝は大杯に浮かぶ百枝槻の葉をご覧になり激昂。
個人的には中々風流ものと思いますが・・・・・。
風流を解せない雄略帝って嫌い。
それはさて置き、大人げない雄略帝は彼女を「打伏」、
可憐でスレンダーな彼女の首に「刀」を刺し当てたのでした。
そして、まさに雄略帝が刺し殺めようとする時、
采女さんは
「私を殺さないで、申し上げたいことがございます!」と。 続く。
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