大前小前宿禰の粋な計らい 532
大前小前宿禰は軽王を助けるべく穴穗御子に
「穴穗御子様、
決して貴男の兄、木梨之軽王に兵をお出しにならないで下さい。
もし兵をお出しになれば、貴男は世間の笑いものになりますぞ。
軽王は私が捕らえて貴男へ差し出しますから。」と申し開きます。
穴穗御子はこの進言を受け入れ兵を引きます。
これを見届けた大前小前宿禰は匿(かくま)っていた軽王を
穴穗御子へ差し出します。
大前小前宿禰は
この戦いの結果は火を見るよりも明らかと判断したのでしょう。
圧倒的人数の穴穗御子軍と武器の差から、
せめても軽王の命だけでもと・・・・・。
お二人の武器
木梨之軽王 軽箭(矢) 「銅其箭之内」
穴穗御子 穴穗箭(矢) 「今時之矢」
軽王の矢先は一昔前の銅製で穴穗御子は最新の矢との事。
観念した軽王はここで名残の二歌。
阿麻陀牟(あま〈天〉だむ)
加流乃袁登賣(かるのをとめ〈軽之乙女〉)
伊多那加婆(いたな〈泣〉かば)
比登斯理奴倍志(ひと〈人〉し〈知〉りむべし)
波佐能夜麻能(はさ〈波佐〉のやま〈山〉の)
波斗能(はと〈鳩〉の)
斯多那岐爾那久(した〈下〉泣きに泣く)
阿麻陀牟(天だむ)
加流袁登賣(軽乙女)
志多多爾母(したたにも)
余理泥弖登冨禮(よ〈寄〉りね〈寝〉てとほ〈通〉れ)
加流袁登賣杼母(軽乙女ども)
軽乙女=衣通郎女に
「大泣きしちゃいやよー、忍び泣きでお願い」って云っても無理なお話。
お二人の深ーい愛は既に世間様は皆さんご存知なのですよっと。
次のメッセージは
「したたにも」は秘かに忍んで。
これも世間様のジェラシー存在で必ず二人の愛は発覚するもの。
続く。
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