水歯別命 曾婆訶理を斬首 524
履中帝の所望の通り、墨江中王を亡き者にした水歯別命は
実行者の曾婆訶理を伴い履中帝が住まう石上神宮へ向かう事に。
その途中、大坂山に至り水歯別命の頭をよぎるものが。
それは、ご自分の策略を差し置いた論理展開なのです。
その調子の良い論理はと云うと。
曾婆訶理は私の命に従い墨江中王を殺害した「大功」がある。
しかしながら、
曾婆訶理は自分の主君を殺傷したので「不義」である。
そうではあるが
私は曾婆訶理の「其功」に報(むく)わずば「無信(約束違反)」である。
従って
先ずは約束を果たした後、
不安だから曾婆訶理を「滅其正身(殺害)」してしまおう。
これって、とても身勝手な発想と云わざるを得ません。
そう結論づけた水歯別命(後の反正帝)は曾婆訶理に告げます。
「今日は彼の地の留まり、先にお前に『大臣』の位を給え、
明日倭に行くことにする」と。
このお話も不可思議、
水歯別命はこの時点では「帝位」についていません。
にも関わらず曾婆訶理に「大臣位」を授けるのでしょうか?
そんな事は無視し、古事記はどんどん前に話を続けます。
大坂山の辺に「仮宮」を造営(一夜城より早い1/4宮)、
「豊楽(宴会)」を催し、
大臣位を与え、
にわか仕立て?の「百官(子役人)」達に拝謁させる顛末。
曾婆訶理はなぜかこの稚拙な「芝居」を疑いもせず本望を遂げ大喜び。
曾婆訶理殺害の水歯別命(後の反正帝)の方法もいたく漫画チック。
顔が隠れるくらいの大きな器になみなみとお酒を注ぎ、
先に水歯別命が口をつけ、
それを幼気(いたいけ)な曾婆訶理に与え、
彼が飲み干す際に
水歯別命は隠し置いていた剣で斬首してしまう始末。
これって「卑怯千万」ってものでは。 続く。