春山霞壮夫 藤花に変容 496
弟の春山 霞壮夫はお母さん子だったのか兄との事の顛末を
具(つぶさ)に、母に話して聞かせます。
すると、母は「布遲(藤)葛(蔓)」を用意、「一宿之間(夜なべをし)」
何とその藤蔓を「織縫(織って布にし縫製し)」
「衣褌」・・・ジャケット・パンツ
「襪沓(したうず・くつ)」・・・シューズ
を作り上げ、更に、「弓矢」迄もこさえたのです。
母は早速、春山 霞壮夫にそれらを「服(着付け)」、弓矢も持たせ
数多(あまた)の男を振り続ける伊豆志乙女の家に送り出します。
ここからが奇想天外、
春山 霞壮夫が彼女の家に着くと、あーら不思議、
彼のお召し物・弓矢は悉(ことごと)く「藤花」に変容するのです。
彼はこの状況を不思議に思わなかったのかしらん?
この次の展開も奇っ怪。
彼は藤花に変化した弓矢を「厠(かわや=トイレ)」に「繋(つな)」ぎ
付けたのでした。
現代のトイレは家の中に存在しますが、昔、むかしは家の外に設置
されていたのです。
伊豆志乙女が用を足しに厠に足を運んだ際、
なな何と、そこには美しい藤花が垂れ下がっていたのです。
特に女性は美しい花をこよやく愛(め)でること必定。
彼女は不可思議と思いつつもその花を取り上げ家に持ち帰ります。
その際、あろう事か藤花に変身していた春山 霞壮夫は
ここぞとばかり彼女に付き従い、彼女の家に入る事に成功。
いつものようにここの古事記表現は
「立其嬢子之後入其屋 即婚 故生一子也」 といたってシンプル。
「彼はお家に入り 合体 お子さんが生まれた」 って展開。
藤花の彼はどの時点で人=春山 霞壮夫に戻ったのかしらん?
古事記原作者はこの時の状況・情景・情況を
「各読者は想像するように!」 ってお優しい思し召し?
八十神=数多の男共を袖にした伊豆志乙女。
彼女の心の変容は一体何を以てしてなりえたのか?
「藤花」 如きでなぜ心変わりが?
春山 霞壮夫のだまし討ち・「強引な挙動」 に心打たれたのか?
「恋の行く末」 はいつも不確か・あきの空模様。
「藤花」 で心をよぎるのは古事記・日本書紀編纂時に
圧倒的な権力を手中に入れ、スポンサードした藤原不比等さん。
純な?乙女は巨万な冨と権力をお持ちの男性にはイチコロ???
まあ、人様の恋路詮索は野暮って云うもの。
何れにせよ春山 霞壮夫は伊豆志乙女と婚姻、
お一人のお子さんを授かるのでした。 続く。
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