沼辺で憩う女性に日耀如虹指其陰上 491
いつもの古事記記述の如くいきなり急展開。
新羅国王のご子息が登場してしまうのです。
韓半島に存在した新羅は以前お話しました
「新羅 377年 前秦に朝貢」 にでご確認下さい。
そのご子息のお名前は「天日矛(あめのひぼこ)」。
何やら彼は来倭しているのです。
そして、なぜ天日矛が倭にいるのかと云う経緯(いきさつ)が
あまりにもファンタジックに展開されるのです。
新羅国に「阿具奴摩(あぐぬま)」と云う沼があったそうな。
その沼の辺(ほとり)である女性がお昼寝をしていたんだとか。
その彼女の「陰(デリケートゾーン)」上に光り輝く虹の様?なものが
「指(射)」し込んだとか。
又、ある男がその不可思議な状景と女性の仕草を覗いていたそうな。
この男性って今日では女性から必ず 「後ろ指を指される」 筈!
それはさて置き、この嫌らしい男の観察に依ると
この沼辺でのお昼寝女性は既に懐妊されていて先程の
光り輝く虹の様なもの?が差し込んだ後、
何と、「赤玉」 をお生みになったそうな。
「赤玉」 とは一体、何? ファンタジーな世界故、深くは・・・・・。
そして、この嫌らしき男は 「赤玉」 を賤しくも女性に所望したそうな。
沼辺でのお昼寝女性は快くか、否、煩わしかったのでしょう
「赤玉」 を男に上げたしまったのです。
男はうれしかったのでしょう。彼は恒にその玉を裹(くぐつ)に入れ
「著腰」(肌身離さず腰に着け)ていたとの事。
(裹は糸・わら等で編んだネットトートバッグ)
ここでちょいと 「赤玉」 について詮索。
この赤玉は決して 「赤玉ポートワイン」 ではありませんことよ。
今となっては赤玉ポートワインはヴィンテージもの。
赤(あか)は本来、明るい意味。後に色名に。
色名、赤の詳細は 「日本の色の誕生」 でご確認下さい。
玉(たま)は古来、美しく・大切なもの。又、美しい女性・石。
従って、赤玉は光り輝くとても美しきもの。
更に、詳しくは
「宇都志国玉神のたま・珠・玉・霊・魂」
「たま・霊・魂を語る折口信夫氏」
「『霊魂の話』 折口信夫氏」
前もって古事記のネタバレを
ここで記述されている 「赤玉」 は沼辺で憩う(昼寝)女性が生んだ
玉の様な柔肌を持つ女児だったのでした。
嫌らしい男はこの美しき女児をそれはそれは大切にし、
可憐な乙女になる迄育て待ち望んだのしょう?
それが、その一歩手前で悔しくも?天日矛に取られてしまった顛末。
続く。