本牟智和気を猫可愛がり 435
どうも垂仁帝は失った沙本姫命をへの思いが強かったらしく
彼女との一粒種、本牟智和気を猫可愛がり。
わざわざ尾張から咲き誇っていた 「二俣榲(杉)」 を伐採し
大和に取り寄せ、それにて 「二俣小舟」 を作らせ住まい近くの
「市師池」 「軽池」 でボート遊び迄もの溺愛。
只、可哀相に本牟智和気は大きくなっても声を発しない
失声症に陥っていたのです。
しかし、ある時、彼は空飛ぶ鵠(くぐい)=白鳥の鳴き声を聞き
白鳥に初めて何か語りかける仕草をしたのです。
それを聞き及んだ垂仁帝はすぐさまその 「鵠=白鳥」 の捕獲を
「山辺之大□(帝+鳥)(やまべのおおたか)」 に命じます。
そうは云っても取り押さえるのは 「空飛ぶ鵠=白鳥」。
いくら名前が 「大鷹」 でも所詮は人の子。
しかし如何せん帝の命ですから彼も必至。
「空飛ぶ鵠=白鳥」 を尋ね、
木国(紀伊) ⇒ 針間国(播磨) ⇒ 稲羽国(因幡) ⇒
旦波国(丹波) ⇒ 多遲麻国(但馬) ⇒ 淡海国(近江)
三野国(美濃) ⇒ 尾張国 ⇒ 科野国(信濃) と追い、
漸く、高志国(越) で追いつき、
「和那美之水門(わなみ〈輪網〉のみなと)」 で網張りゲット。
即、大和の帝へお持ち帰り。
垂仁帝は喜び勇んで息子の本牟智和気に 「地上の鵠=白鳥」
を見せますが彼は何も言葉を口にしませんでした。
この光景に垂仁帝は極めて落胆。
期待が大きかった分お疲れになり床(とこ)に。
すると
「修理我宮 如天皇之御舍者 御子必真事登波牟(とはむ)」
との夢見のご宣託が。
『私の住まいを貴男の邸宅の様にしてくれれば
お子さんは病気はたちまち治る』 との事。
どちらの神のご宣託かと占ってみると
「爾祟 出雲大神之御心」 と。
この後、「出雲国」 へ本牟智和気が出かける展開になりますので
この神は 「大国主命=大物主命」。
どうも豊葦原瑞穂国を素直に?譲って頂いた 「負い目」 が
高天原系の末裔にも重くのし掛かっている感じ。
そして、本牟智和気の随身(ずいしん=ずいじん)を占うと
「曙立王(あけたつのみこ)」 と。
ここからは 「宇氣(気)比(うけひ)」 の頻発。
宇気比の初出は 「建速須佐之男命 V.S. 天照大御神」。
ここでの宇気比は 「神に祈り、成否・吉凶占い」。
曙立王が宇気比すると
鷺は死んで生き返り、檮(樫)の木を枯らし生き返らせた。
この「能力」から彼は 「曙立王」 と命名されたとか。
もう一人のお伴は 「菟上王(うなかみのみこ)」。
彼らお二人は開化帝 ⇒ 日子坐王 ⇒ 大俣王のお子さんで兄弟。
しかし、古事記では弟の菟上王については何も触れず仕舞い。
いよいよ3名で出雲へ旅立ち。 続く。
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