麻糸は鉤(鍵)穴を通り三輪山へ 422
健やかなお二人同士が毎夜ベッドを共にし、
愛を育めば自(おの)ずと新しい命の誕生は必定。
活玉依姫のお腹は成長する命で膨らみ始めます。
当然、彼女の両親はお嬢さんの異変に気づきます。
両親は喜びも束の間、「お相手は?」 との問い質(ただ)し。
只、古事記のこの後の展開が凄くラフなのです。
幾ら行間を読んでって云われてもかなり読み進めないと
合点が行かないのです。
自然懐妊
是以其父母
欲知其人
誨其女曰
以赤土散床前
この表現ですよ。
「誨(カイ・おし・える)」 は教え諭す。
<その人を知りたくって、彼女 (活玉依姫) に教え諭した。
赤土を以てして寝室の床に・・・・・>
ところが、めげずに前に進むとファッション関連語句が登場します。
両親の教えは
赤土を以てして寝室の床に撒き散らす事と
紡いだ麻(糸)を針に通し、その針をお相手の 「衣襴」 に刺す事。
「襴(ラン)」 は縫腋の裾部分。
こちらの部位は 「束帯と衣冠 (通称 衣冠束帯)」 でご確認を。
いつもの様に彼は夜に訪れ愛を交わし朝方何処かにお帰り。
しかし、今日の活玉依姫は両親の教え通り
彼のロングジャケットの裾にそーっと抜け落ちない様に
返し針で麻糸を縫いつけておいたのです。
やがて、「旦時(朝)」 目覚めるといつもの様に彼は不在。
只、昨夜、彼に内緒で縫った麻糸三勾(糸巻)が目の前に。
更にその麻糸は不可思議にも
部屋 (玄関かも) の 「鉤(鍵)穴」 を通っていたのです。
そこでこの麻糸に従い辿っていくと 「美和山」 に至った云う顛末。
なんとまあ、ファンタジーで奇想天外なストーリーな事。
此処まで来て、やっと活玉依姫自身、
彼の素性を全く知らなかった事が判明します。
(とは云っても、とても不自然ですが・・・・・。)
幾ら 「愛に言葉は要らない」 って云っても一夜限りの契りではない
のですからいやはや何とも。
ここは活玉依姫が大胆不敵過ぎるって事にしておきましょう。
その次の記述もいただけません。
突如、状況証拠からか、
故に(意富多多泥古命は)美和山=大物主神の子孫
であると結論。
とても証明不十分な感が否めません。
更に輪をかけ、追い打ちをかけるように
とっても爺むさいこじつけ気味の 「シャレ」 のご披露に。
この地の命名の謂われは
ベッドルームに残された
麻糸の <三勾(三巻)=みわ(三輪・美和)> からとか。
とても苦し過ぎません?
そして注釈で
意富多多泥古命は 「神君(三輪君)」 と 「鴨君」 の祖と。
続く。
| 固定リンク
コメント