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2012年4月 8日 (日)

玉手箱でなく塩盈珠・塩乾珠の贈り物 368

 とても失礼な仕草と思うのですが、
 火遠理命=山幸彦は至れり尽くせりの豊玉姫命の目の前で
 あからさまな大きな溜息をつくのです。
 それも何て事か 「夜」 にです。
 豊玉姫命は 「もはや、わたくしに飽きてしまった」 のかしら
 と思ったかどうかは知り得ませんが、彼に、
 「三年もの月日貴男とご一緒しましたが、
  今日は一体どうされたのですか?」 と心配の余り思わず
 お聞きになったのです。
 さすが憚ったのか、踏ん切りが悪かったのか
 彼女にその夜は口を開かなかった火遠理命=山幸彦。
 純な?豊玉姫命は一睡もしなかったのではないかと。
 もんもんと父、綿津見神の目覚めを待ち続ける長い時間。
 明けぬ夜はない如く、やがて父親がお目覚め。
 今か今かと待ち望んでいた彼女は一目散に父親のもとに。
 経緯を聞いた綿津見神はこれは一族の一大事と
 父親らしく極力感情を抑え、火遠理命=山幸彦に
 溜息事情とここに来られた経緯をお聞きになるのです。
 冷静沈着に問われた火遠理命=山幸彦は
 「失いし鉤(釣り針)」 と 「塩椎神の助言」 を披瀝。
 綿津見神(海神)の宮に来られたいきさつを聞き、
 お嬢さんの豊玉姫命に愛想が尽きた訳でない事を
 察した綿津見神は即、「失った鉤の探索」 に着手。
 大海原に住まうありとあらゆるお魚さん達を呼び寄せ
 「『失われた鉤』 の行方を知るものをおるか?」 と質問。
 すると殆どのお魚さん達はその行方を知っている始末。
 「その鉤」 は 昨今食が進まない 「赤海鯛魚」 の喉にと。
 早速、綿津見神は 「赤海鯛魚」 から 「鉤」 を抜き洗浄。
 「赤海鯛魚」 も大助かり。
 そして釣り針を火遠理命=山幸彦にお渡しになる際、
 訓誨(くんかい)=諭し教えます。
 「この釣り針を貴男のお兄さん、火照命=海幸彦にお返しになる時
  『この釣り針は淤煩鉤・須須鉤・悍鉤・宇流鉤』 と
  後ろ向きの状態でおっしゃりなさい。」 と。
 更に続けて
 「火照命=海幸彦が高台に田圃を造成したら、
   貴男は低地にお造りなさい。又、逆も真なり。
  そうしたら、わたくしは水を掌握していますので
  三年もしたら貴男のお兄さんは困窮します。
  そうしてお兄さんが所得格差を恨み、
  貴男の米蔵破りに戦いを挑んできた際は」
  『塩盈珠(しおみつたま)』 をお出しになりお兄さんを溺れさせ
 許しを請うたら
 『塩乾珠(しおふるたま)』 を使い、助けておやりなさい。
 この様にしてせいぜいお兄さんを苦しめて上げるのです。」 と。
 かくして、綿津見神は火遠理命=山幸彦に
 「塩盈珠」 と 「塩乾珠」 を贈り物として授ける事に。
 こんな感じになると思うのですが、甚だ疑問が生じます。
 火遠理命=山幸彦が綿津見神(海神)の宮にいらした
 古事記の字面、三年間で玉手箱の力なのか?豊葦原中国は
 狩猟採集時代(縄文時代)から水稲耕作時代(弥生時代)に
 なぜか変貌を遂げているのです。
 「塩盈珠」 ならぬ 「時盈珠」 をお出しになったのかしら
 それはそれは 「おっ珠げっ」 てな感じに・・・・・。            続く。

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