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2012年3月25日 (日)

安楽で甘美な綿津見神(海神)の宮 366

 素直って云うか、アドリブが利かないのか、
 はたまた人を信じやすいお方なのか、
 火遠理命=山幸彦は塩椎神のお告げ通りに事を運びます。
 桂(「香木」)の木に登り、座っていると
 妙齢なお嬢さん?がお出ましに。
 古事記原作者は彼女の正体をもったいぶらず即、お披露目。
 彼女は豊玉姫命のお世話係(「従婢」)と。
 彼女は水入れ用の瓶=「玉器」 (決してペットボトルではなく) を
 両手で支え持って井戸に水汲みに来られたのです。
 井戸を覗くとそこには一際光るものが。
 これは一体何かしらと思い
 上を見上げると桂の木にイケメンの 「をとこ」 が座っていたのです。
 彼女にとっては一瞬ぐぐっときたものの不可思議さが先行。
 (ナンパ慣れしている?)火遠理命=山幸彦はこの期を逃さず
 彼女に声をかけます。
 「僕にもお水をくださいな」 って。
 考える 「間」 を与えない火遠理命=山幸彦の先制攻撃に
 彼女は敢え無く撃沈、
 水を汲み上げた瓶(かめ)=「玉器」 を彼に差し出します。
 当然喉を癒す為に水を所望されたと思っていたところ、
 予想だにしない振る舞いに及ぶ火遠理命=山幸彦。
 瓶(かめ)=「玉器」 を受け取るや否や
 首(「頸」)に下がる玉石を連ねたネックレスの紐を解き、
 玉石の一つを口に含み、
 失礼な事にも
 その玉石を瓶=「玉器」 にべぇって吐き入れたのです。
 無遠慮な火遠理命=山幸彦にさすがの彼女も興ざめ。
 彼女はむっとして瓶に吐かれた玉を取り出す事に。
 しかし、その玉は瓶の底にびしっと引っ付いていて取れない始末。
 どうも火遠理命=山幸彦の唾液は粘着力が凄い感じ?
 困り果てた彼女はしょうがなく瓶をそのまま持ち帰り
 豊玉姫命にお渡しになったのです。
 豊玉姫命はその玉付き瓶をご覧になり彼女に問い質します。
 「だれか、門の外にいらしたの?」 と
 それに対して彼女はこの間の出来事を豊玉姫命にご注進。
 一部始終を聞いた豊玉姫命は怪訝に思い、自ら確かめる為
 玄関から外に。
 豊玉姫命の目の前には一族とは
 全く目鼻立ちが異なる 「麗しきをとこ」 が。
 豊玉姫命は
 普段見馴れたソース顔よりのっぺり醤油顔に胸キュン。
 ここ迄は問題ないのですが次に
 「目合而」 と記載されているのです。
 読みは 「めあわせて」 となる筈です。
 前近代用語では 「妻わす」=「女合せる」 に。
 因みに梅原猛さんはこの箇所を
 「男女の交わりをされた。」 と訳されています。
 わたくしども ZIPANGU はこの訳には些か異議申し立て。
 この 「目合而」 は 「目と目でコンタクト」 迄。
 豊玉姫命は決して一線を越えさせていないと考えます。
 いかな快活で開放的な豊玉姫命でも一目逢った位で体を開くとは
 思われませんこと。
 しかし、火遠理命=山幸彦に心を動かされた事実。
 彼女は早速、お父様、綿津見神(海神)にご報告。
 綿津見神(海神)は
 天孫、邇邇藝命の息子さん、火遠理命=山幸彦
 を見知っていた模様。
 綿津見神(海神)は、お嬢さんの豊玉姫命に紹介、
 彼は天津日高(あまつひこ)=(邇邇藝命)の息子さんで
 虚空津日高(そらつひこ)=(天津日高日子穗穗手見命) さんと。
 綿津見神(海神)は豊葦原中国を制圧した異民族の末裔、
 火遠理命=山幸彦を早速、宮殿に招き入れます。
 綿津見神(海神)にとっては
 願ってもない火遠理命=山幸彦の宮殿への来訪。
 綿津見神(海神)は火遠理命=山幸彦に
 それは・それは、「至れり尽くせりのおもてなし」。
 綿津見神(海神)一族の明日を願い
 豊玉姫命にまんざらでもない
 火遠理命=山幸彦に妻わせ(結婚させ)る快挙を成し遂げる事に。
 一方、
 火遠理命=山幸彦にとってはこの上もない安楽で甘美な時空、
 (やっぱり竜宮城?) ついつい長居をしてしまうのです。   続く。

 ところで、古事記撰上から1300年目を迎える今年。
 「古事記ガール」 が縁(ゆかり)の地を徘徊、
 いにしえの聖なるパワーを求めているとの事です。
 奈良の某ホテルが企画した山を散策するコースには
 「歴女」・「山ガール」・「婚活ガール」 と称される女性の皆さんが
 奮って参加されているそうです。
 「歴男」・「山ボーイ」・「婚活ボーイ」 とは聞いた事がありません。
 昔も今もどんな時代でも元気溌剌は 「お姫さま」 ですこと。
 尚、詳しくは「編さん1300年、ゆかりの地に『古事記ガール』増殖」
 (日経Web刊) でご確認を。

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2012年3月18日 (日)

綿津見神(海神)の宮 古事記原文 365

 火遠理命=山幸彦が綿津見神(海神)の宮で
 綿津見神(海神)のお嬢さん(豊玉姫)との
 スイートな時空のお話しです。
 先ずは、古事記原文からご覧下さい。

故隨教
少行
備如其言
即登其香木坐
爾海神之女
豐玉豐賣之從婢
持玉器
將酌水之時
於井有光
仰見者
有麗壯夫(訓壯夫云遠登古 下效此)
以爲甚異奇
爾火遠理命
見其婢
乞欲得水
婢乃酌水
入玉器貢進
爾不飲水
解御頸之嶼 <山偏の所は王偏> 
含口
唾入其玉器
於是其嶼 <山偏の所は王偏>   
著器
婢不得離嶼故嶼任著 <山偏の所は王偏>
以進豐玉豐賣命
爾見其嶼問
婢曰
若人有門外哉
答曰有人坐我井上香木之上
甚麗壯夫也
益我王而
甚貴
故其人
乞水故
奉水者
不飲水
唾入此嶼 <山偏の所は王偏>
是不得離故
任入將來而獻
爾豐玉豐賣命
思奇出見
乃見感
目合而
白其父曰
吾門有麗人
爾海神自出見云
此人者
天津日高之御子
虚空津日高矣即於内率入而
美智皮之疊敷八重
亦施疊八重 <方偏の所は糸偏>
敷其上
坐其上而
具百取机代物
爲御饗
即令婚其女豐玉豐賣
故至三年
住其國

 来週読み解きます。 乞うご期待。                            続く。

 web上では
 国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P63の16行目で
 確認可能ですので是非ご覧下さい。

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2012年3月11日 (日)

火遠理命=山幸彦 綿津見神(海神)の宮へ 364

 「善なるアクター」、火遠理命=山幸彦は途方に暮れ、
 センチにも海辺でしくしく泣く始末。
 その時、突如、塩椎神(しおつちのかみ)が現れ出でます。
 子供の様に泣きじゃくる山幸彦に彼は優しく問いかけます。
 「一体、どうしたの?」 と。
 山幸彦は塩椎神にこの間の事情を切々と訴えます。
 山幸彦は彼に何の疑問を持たず答えていますので
 以前にお会いになった事がある感じ。
 山幸彦に経緯(いきさつ)を聞いた塩椎神は
 「それでは、貴男に良い方策を授けましょう。」 と
 即、(「无間勝間」) の小舟を作り、それに山幸彦を乗せて
 次の様に諭(さと)します。

 「私がその小舟を押し流します。暫く沖に出るのです。
  さすれば、良い潮路が待っています。
  その潮に任せ小舟を操りなさい。そうこうしている内に、
  やがて 『龍宮城(「如魚鱗所造之宮室」)』 に辿り着きます。
  そこが海神(「綿津見神」)の住まう宮です。
  その竜宮城に辿り着いたらお邪魔され、門をくぐると井戸があり、
  その傍(かた)らに桂(「香木」)の木があります。
  その木の登り上に座っていて下さい。
  少し後に、「海神(綿津見神)」 のお嬢さんが貴男を見つけ
  きっと良い策をお教え下さいます。」

 と云う事で次なる展開を迎えるのです。
 ところで、ファンタスティックに思わず
 「如魚鱗所造之宮室」 を龍(竜)宮城としてしまいました。
 龍(竜)宮城ときたら、浦島太郎伝説になってしまいます。
 昨今話題の 「光より速い」 タキオンではなくニュートリノ。
 計測機器に不具合とクレームをつけられ再度実証実験とか。
 「玉手箱」 は 「タイムマシーン」 ではなく
 楽しい時空間は 「短く感じ」、
 辛く・悲しく・寂しい時空間は 「長ーく感じ」 る喩え話。
 従って、この 「如魚鱗所造之宮室」 は海神(綿津見神)の宮に。
 端的には海民の長(おさ)が住まう館なのです。
 「夢」も「希望」も「幻想」も無くしてしまうお話とお思いですか?
 それはとんでもない誤りです。
 現実を直視しそこを土台として「夢」・「希望」・「幻想」を膨らませ
 もし、そこへ近づきたいのなら 「果て無き努力」 をし続ける事です。
 土台(現場)から出発しない限り大願成就が無理ってもの。
 土台(現場)を忘れた 「夢」・「希望」・「幻想」 は絵空事。
 何て、前時代的な事を宣ってしまいましたので
 玉手箱の白煙で 「煙に巻いてしまう」 事にしちゃいます。
                                                                   続く。

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2012年3月 4日 (日)

肉食系の火遠理命=山幸彦の合理主義 363

 お魚を食す事を一時控えていた魚食系・火照命=海幸彦、
 お魚大好きな彼はそろそろお腹が欲しがる時を迎えます。
 そこで、彼は肉食系・火遠理命=山幸彦に
 互い得意とする 「さち=道具」 の交換を申し出ます。
 すると、何と云う事か
 火遠理命=山幸彦が大事な 「釣り針」 を無くした事実を
 彼の口から聞く事になるのです。
 魚食系・火照命が長年使い込み肌合いのあう道具である釣り針を
 失ったとの事に彼は気が動転。
 更に、火遠理命=山幸彦は火照命=海幸彦に
 「ご免なさい。」 を全く入れていません。
 火遠理命=山幸彦はかなり空気が読めない傍若無人はお方かも?
 火照命=海幸彦は
 強行に火遠理命=山幸彦に返還を求めます。
 火遠理命=山幸彦の不注意から生じた 「釣り針」 紛失事故。
 故に彼はご自分の剣(つるぎ)を砕き500~1,000もの釣り針を
 こさえて火照命=海幸彦に許しを請いますが
 火照命=海幸彦は決して首を縦に振りません。
 彼の魚を釣る 「釣り針」 は彼にとっては体の一部になっている筈。
 道具を体の一部にして、道具も使う人の癖が加わって始めて
 匠(たくみ)のお仕事ができるのです。
 これが当にアーキテクト (職人さん) 。
 それを何の侘びも無しに、火遠理命=山幸彦は
 単なる 「釣り針の形をした道具」 を幾ら作っても詮無き事に。
 火遠理命=山幸彦の立場としたら 「心を込めて」
 火照命=海幸彦に謝罪する以外方法論が無いのです。
 この心の機微を理解できない輩は如何ともしがたいです。
 或いは、次の様にも考える事ができます。
 火遠理命を代表する、肉食系の方々は
 「道具はとっかえ・ひっかえることが可能な単なるツール」
 と云う発想なのかも知れません。
 上の 「道具」 を異なる名詞に置き換えられる発想がきっと以て、
 「近現代、合理主義発想」 と云う代物(しろもの)なのでしょう。

 グッズの使い捨て
 構築物のスクラップアンドビルド
 自然破壊 

 等々を自然にできなくてはこの世でチャンピョンになれない構造。
 この発想ができた火遠理命=山幸彦は
 現代に通じる発想の持ち主だったやも知れません。
 古事記原作者もこの事を見込み
 火遠理命=山幸彦を 「善なるアクター」 として振る舞わせます。

 ところで、「香木」 を 「(訓香木云加都良)」 と読めとの指示に。
 「こうぼく」 ではなく 「かつら」。
 桂男(かつらお)はイケメン(美男子)。
 桂の葉の形はハート
 と云う事は、
 火遠理命=山幸彦って、よき香りがしない優男(やさおとこ)に。
                                                                  続く。

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