魚食系の海幸彦と肉食系の山幸彦 362
木花之佐久夜姫と邇邇藝命との息子さん達、
火遠理命が山幸(佐知)彦。
火照命が海幸(佐知)彦。
ところで、古事記表記の 「佐知(さち)」 は 「幸」。
この幸の本来の意味合いは
「各相易佐知(幸)欲用」
(おのおの、さち、相変(易)えて用いたい。) から、
さち(幸)は
山のさち(幸) ⇒ 猪・鹿・雉等々
海のさち(幸) ⇒ 鯛・鮃・鮑等々 を取る 「道具」。
その道具を用いて 「食糧」 を得、結果的に 「幸=幸福」 に。
火照命の道具は魚を釣る海幸から釣り針= 「鉤(かぎ)」。
火遠理命の道具は古事記には記載されていませんが
山幸から 「矢」 になるのでしょう。
と云う事は
火照命はお魚を食す文化で火遠理命はお肉を食す文化を
それぞれお持ちになっていたのかしらん?
更に、この時代の 「しあわせ」 は 「食する事」 が一番で、
空腹を満たす事が先ずは先決事項。
「しあわせ (仕合せ)」
チャンス・ラッキー・ハッピー時代はまだまだ先の事。
ところで、
火遠理命は日々の肉食に飽きたのか
火照命に道具を変えて欲しいと提案します。
ところが、火照命は肉食を好まなかった感じでこの提案を拒否。
それでもお魚を食したい火遠理命は再度懇願。
しかし、火照命はお断り。
されど、めげない肉食系・火遠理命は三度目のお願い。
この再三の要請にも火照命は首を縦に振りません。
しかしながら、火遠理命の更なるプッシュに継ぐプッシュに
さすがに魚食系・火照命は心が揺らぎ、
火遠理命の気持ちを慮(おもん)ばかり
淡泊にも折れてしまいます。
お魚好きの火照命は肉食系・火遠理命の脂ぎったねちっこさに
根負けしてしまったのでしょう。
又、一日二日ほど食さなくても堪えようを思ったのかも?
(彼は端から猟などしようとは思わなかったのではないでしょうか。)
一方、念願の釣り針を手に入れた火遠理命=山幸(佐知)彦は
早速、海での漁(りょう)に出かけます。
ところが、どうしたことか火照命に大漁をもたらす釣り針を
用いたにも関わらず、全く魚は釣れず、挙げ句の果てに
その釣り針を魚に持って行かれ、失ってしまったのです。
基本的に 「道具」 は所詮ツール。
それを使いこなす力量が備わった方が 「匠」 に。
「ノートと鉛筆」 が有っても 「(やる)気(持ち)」 が無ければ・・・。
人と道具の調和が取れた時に
道具は究極の力を発揮するものでは。 続く。
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