梅原猛さんの八岐大蛇読み 289
前回、梅原猛さんのイナバノシロウサギ (稻羽之素菟) 読みを
紹介しましたので、今回はもう一つの重要な伝説である
八俣遠呂智 (古事記表記) =八岐大蛇
梅原猛さんのヤマタノオロチ (梅原猛さんの表記) 読み解きを。
この説は 「神々の流竄(るざん)」 (すばる創刊号) 1970年6月に
出稿されました。
この 「神々の流竄」 と前回の 「蔭の部分」 は
「日本精神の系譜」 と題された連載論文の
最初と二回目に当たります。
又、前回も記しました様にこの 「神々の流竄」 は
「神々の流竄 梅原猛著作集8 集英社」 1981年9/23発行の
自序で今はこの説に50% 「否定的な意見をもっている。」
と記されています。 しかし、どっこい、
ヤマタノオロチ物語はイナバノシロウサギ物語より30%も確率が
高く、この時点 (1981年) では半分肯定されているのです。
再度、(以前は八俣遠呂智(おろち=大蛇)は一体、何?)
ここで、ヤマタノオロチを描写した古事記原文を。
彼目如赤加賀智而
身一有八頭八尾
亦其身生蘿及桧榲
其長度谿八谷峽八尾而
見其腹者
悉常血爛也(此謂赤加賀知者今酸醤者也)
「彼(そ)の目は赤加賀智(あかかがち)の如くして、
身一つに八頭八尾(やかしらやお)有り。
亦その身に蘿(こけ)と桧榲(ひすぎ)と生(お)ひ、
其の長(たけ)は
谿八谷峽八尾(たにやたにをやを)に度(わた)りて
其の腹を見れば、
悉に常に血爛れつ」
(「神々の流竄 梅原猛著作集8 集英社」 p62)
上記がヤマタノオロチの特徴です。
赤加賀智(あかかがち)は
古事記の注釈で酸醤 (漿)=ほおずき と説明されています。
それでは、梅原猛さん説は
「ヤマタノオロチ = 三輪山」 とされました。
檜、椙(杉)が生い茂り、蘿(苔)むす山。
「悉に常に血爛れつ」 については (本人、三輪山現地調査結果)
「杉は冬になると赤くなる。十一月から三月までの間、それは
赤い色をしていた。 中略
『悉に常に血爛れつ』 は、杉のあかのゆえではないか。」
(前出 p69)
三輪山 (みわやま) は大和、現在、奈良県桜井市にある山。
三輪山すべてがヤマタノオロチ (八岐大蛇)
「山の神 (神山自然信仰)」 = 大神神社 (おおみわじんじゃ)。
神社は、「大神」 をわざわざ 「おおみわ」 と読ませています。
更に、この大神神社の 「ご由緒」 には
「三輪山を拝するという、原初の神祀りの様が伝えられており、
我が国最古の神社」 と銘打たれています。
オロチ=大蛇に関して、大神神社は特に述べておられません。
因みに広辞苑での 「おろち (大蛇)」 の説明は、
「(オは「峰」、ロは接尾語、チは霊威あるものの意)
きわめて大きな蛇。うわばみ。だいじゃ。
古事記上 「高志(コシ)の八俣(ヤマタ)の―」 と。
神社側では 「既成の事実」 として扱っておられるのかも。
であるならば、この伝説は梅原猛さんの説をフォローし、
出雲神話ではなく、大和三輪神話になる事に・・・・・。
又、神社の 「ご祈祷・授与品のご案内」 での
「うさぎ(兎)」 グッズと
「卯 (う) の日祭」 の 「うさぎ」 が気になる箇所です・・・。
「うさぎ追いし、(三輪) 山♪」 かも?
てな感じなんですが、古事記の読みを先に進めてます。
梅原猛さん説は又、それに伴い触れさせて頂く事に。 続く。
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