単刀直入な建速須佐之男命 272
おろち(大蛇)の姿態を聞いた建速須佐之男命は
ここで意外な、或いは、速須佐之男命らしい要求をします。
爾速須佐之男命詔
其老夫 是汝之女者 奉於吾哉
答白恐亦不覺御名
爾答詔
吾者天照大御神之伊呂勢者也(伊自三字以音)
故今自天降坐也
爾足名椎 手名椎神 白然坐者恐 立奉
大胆、早急な速須佐之男命。
老夫婦は 「氏素性」 の分からない元気な男にいきなり
「お嬢さんをわたしに下さい。」 とリクエストされるのです。
困ったお老父さんは、一体なんて奴だとどぎまぎしながら
「ところで、あなたのお名前は何とおしゃるんじゃ?」 と
そこで、うっかり者の速須佐之男命は答えます。
「わたしは天照大御神の伊呂勢(いろせ)=同母弟。
今しがた、高天原かろおりて来た。」と
それを聞いた国つ神、大山津見神 (山の神) の子である
足名椎と手名椎神は恐れ多くなり、畏まってしまうのです。
前々回触れませんでしたが、足・手名椎神は大山津見神の子
と表現されていますので、兄妹となり、インセスト (incest)で
お嬢さんの櫛名田比賣が誕生した事になります。
速須佐之男命はこの地区では凄くメジャーだった様で
天照大御神の弟と述べただけでこの老夫婦は
彼の 「お名前・履歴」 が分かってしまうのです。
老夫婦はこんな 「玉の輿」 婚は願ったり叶ったり感じの呈。
二つ返事で、彼女の気持ちを聞くまでもなく
ご自分達のお嬢さんを彼に差し出したのでした。 続く。
web上では
国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P30の10行目で
確認可能ですので是非ご覧下さい。
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