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2010年5月 2日 (日)

単刀直入な建速須佐之男命 272

 おろち(大蛇)の姿態を聞いた建速須佐之男命は
 ここで意外な、或いは、須佐之男命らしい要求をします。

爾速須佐之男命詔
其老夫 是汝之女者 奉於吾哉
答白恐亦不覺御名
爾答詔
吾者天照大御神之伊呂勢者也(伊自三字以音)
故今自天降坐也
爾足名椎 手名椎神 白然坐者恐 立奉

 大胆、早急な須佐之男命。
 老夫婦は 「氏素性」 の分からない元気な男にいきなり
 「お嬢さんをわたしに下さい。」 とリクエストされるのです。
 困ったお老父さんは、一体なんて奴だとどぎまぎしながら
 「ところで、あなたのお名前は何とおしゃるんじゃ?」 と
 そこで、うっかり者の須佐之男命は答えます。
 「わたしは天照大御神の伊呂勢(いろせ)=同母弟。
 今しがた、高天原かろおりて来た。」と
 それを聞いた国つ神、大山津見神 (山の神) の子である
 足名椎と手名椎神は恐れ多くなり、畏まってしまうのです。
 前々回触れませんでしたが、足・手名椎神は大山津見神の子
 と表現されていますので、兄妹となり、インセスト (incest)で
 お嬢さんの櫛名田比賣が誕生した事になります。
 須佐之男命はこの地区では凄くメジャーだった様で
 天照大御神の弟と述べただけでこの老夫婦は
 彼の 「お名前・履歴」 が分かってしまうのです。
 老夫婦はこんな 「玉の輿」 婚は願ったり叶ったり感じの呈。
 二つ返事で、彼女の気持ちを聞くまでもなく
 ご自分達のお嬢さんを彼に差し出したのでした。       続く。
 
 web上では
 国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P30の10行目で
 確認可能ですので是非ご覧下さい。

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