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2009年11月29日 (日)

須佐之男命の落とし種 宗像三女神 250

 速須佐之男命の物實<ものざね=物実=物種(ものだね)>
 十拳劍から
 お出ましになった3女神は航海安全・大漁祈願・海の神々に。

 多紀理毘賣命⇒沖ノ島の沖津宮 (日本書紀では)田心姫神
 市寸嶋比賣命⇒大島の中津宮 (日本書紀では)湍津姫神
 田寸津比賣命⇒田島の辺津宮 (日本書紀では)市杵島姫神

 通称、宗像三女神。
 尚、宗像大社では日本書紀を採用して下記の様に。

 【御祭神と由緒】
 宗像大社は天照大神の三柱の御子神をおまつりしています。
 この三女神のお名前は、
 田心姫神 (たごりひめのかみ)
 湍津姫神 (たぎつひめのかみ)
 市杵島姫神 (いちきしまひめのかみ) と申し上げ、
 沖ノ島の沖津宮には田心姫神、
 大島の中津宮には湍津姫神、
 田島の辺津宮には市杵島姫神がそれぞれおまつりされています。
 この三宮を総称して宗像大社と申します。

 沖津宮は福岡県宗像市大島沖ノ島
  中津宮は福岡県宗像市大島
 辺津宮は福岡県宗像市田島
 グーグルアース (google earth) にお力をお借りして

グーグルアース (google earth)の宗像三女神

 ヴィジュアル (visual) 世界は想像を膨らませます。
 沖ノ島と大島は福岡県宗像市と長崎県対馬を繋いでいます。
 多紀理毘賣命がいらっしゃる沖ノ島は
 「女人禁制」 の島だったとの事。
 さぞかし、彼女は女性が嫉妬する程素敵な女性だったのでしょう?
                                                                  続く。
 web上では
 国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P25の1行目で
 確認可能ですので是非ご覧下さい。

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2009年11月22日 (日)

建速須佐之男命 V.S. 天照大御神 249

 這々の体に陥る速須佐之男命は起死回生の一手を繰り出します。
 その一手とは女性がとっても大好きな 「占い」。
 
 爾天照大御神詔 然者汝心之清明何知 
 於是速須佐之男命答白
 各宇氣比而 生子(自宇以三字以音 下效此)

 因みに広辞苑では宇氣比を次の様に紹介しています。

 うけい【祈請・誓約】ウケヒ
 (動詞ウケフの連用形から)
 神に祈って成否や吉凶を占うこと。〈神代紀上訓注)

 故爾各中置天安河而
 宇氣布
 天照大御神先
 乞度建速須佐之男命所佩十拳劍
 打折三段而
 奴那登母母由良迩(此八字以音 下效此)振滌天之眞名井而
 佐賀美迩迦美而(自佐下六字以音 下效此)
 於吹棄氣吹之狹霧所成神御名
1  多紀理毘賣命(此神名以音) 亦御名謂奧津嶋比賣命
2次市寸嶋(上)比賣命 亦御名謂狹依毘賣命
3次多岐都比賣命(三柱 此神名以音)

 速須佐之男命
 乞度天照大御神
  所纏左御美豆良八尺勾聰之五百津之美須麻流
 奴那登母母由良爾 振滌天之眞名井而
 佐賀美迩迦美而 於吹棄氣吹之狹霧所成神御名
1正勝吾勝勝速日天之忍穗耳命
 亦乞度所纏右御美豆良之
 佐賀美迩迦美而 於吹棄氣吹之狹霧所成神御名
2天之菩卑能命(自菩下三字以音)
 亦乞度所纏御鬘之而  
 佐賀美迩迦美而 於吹棄氣吹之狹霧所成神御名
3天津日子根命
 又乞度所纏左御手之而 
 佐賀美迩迦美而 於吹棄氣吹之狹霧所成神御名
4活津日子根命 
 亦乞度所纏右御手之
 佐賀美迩迦美而 於吹棄氣吹之狹霧所成神御名
5熊野久須毘命(并五柱 自久下三字以音)

 於是天照大御神 告速須佐之男命
 是後所生五柱男子者 物實因我物所成 故自吾子也
 先所生之三柱女子者 物實因汝物所成 故乃汝子也
 如此詔別也

 「心之清明」 心が清く明らかな事をお示しする為
 建速須佐之男命は天照大御神に互いに祈請(占い)をしましょうと
 提案します。
 お姉さんの天照大御神はそれを快く承諾。
 先ずは、お姉さんからスタート。
 彼女は建速須佐之男命、弟の 「」 を受け取り
 「天之眞名井(聖水・清水・せい水)」 で清めた後お口に含みます。
 そうこうして、お生まれになった女性神が3柱。
 お次は、弟の番。
 彼はお姉さんの 「」々 を受け取り、はやり、
 「天之眞名井(聖水・清水・せい水)」 で清めた後お口に含みます。
 そんなこんなで、お生まれになった男性神が5柱。
 さんさんごご (三三五五)、お生まれになったのです。   続く。

 web上では
 国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P23の2行目で
 確認可能ですので是非ご覧下さい。

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2009年11月15日 (日)

天照大御神が美武装 248

 故於是速須佐之男命言 然者請天照大御神將罷 乃參上天時
 山川悉動 國土皆震 
 爾天照大御神聞驚而 
 詔我那勢命之上來由者 必不善心 欲奪我國耳 
 即解御髮 纒御美豆羅而 乃於左右御美豆羅 亦於御鬘 
 亦於左右御手各纒持八尺勾×之五百津之美須麻流之珠而
 (自美至 流四字以音 下效此)
 曾毘良迩者屓千入之靭(訓入云能理下效此 自曾至迩者以音)
 附五百入之靭 
 亦所取佩伊都(此二字以音)之竹鞆而 弓腹振立而
 堅庭者 於向股蹈那豆美(三字以音)如沫雪蹶散而 
 伊都(二字以音)之男建(訓建云多祁夫)蹈建而
 待問
 何故上來 
 爾速須佐之男命答白 僕者無邪心
 唯大御神之命以 問賜僕之哭伊佐知流之事故 
 白都良久(三字以音)僕欲往妣國以哭 
 爾大御神詔 汝者不可在此國而 
 神夜良比夜良比賜 以爲請將罷往之状
 參上耳 無異心

 (×の漢字は電子図書館蔵書の古事記上巻P22の6行目で。)

 ちょいと長くなりましたが嫌にならないで。
 父をなくした速須佐之男命は最善の相談者である長姉
 天照大御神に亡き母の逢いたい胸の内を吐露し許可を請う為
 彼女のいらっしゃる所へ赴きます。
 とっても礼儀正しい速須佐之男命です事。
 にも関わらず、彼女の幻想、否、血迷い?からか
 天照大御神が治めている空間の山・川・大地が悉く動揺する始末。
 侵略されると勘違いした彼女は
 女性の命、長く垂れた翠色に輝く黒髪を
 何と左右に結 (ゆ) わき、
 2本のお提げ髪ボイッシュヘアー (美豆羅) に変身。
 彼女は男装の麗人第一号に。
 更に、ヘアーと両手に数多の勾玉 (まがたま) 装飾の
 超々ロングアクセサリーでオシャレ。
 ココまでは良いのですがこの後がいけません。
 千本もの矢が入るショルダーバッグ (靭=ゆき) を背負い
 五百本の矢が収納可能はサイドバッグを提げ
 弓手には竹製のプロテクター (鞆=とも)。
 お下品にも大股をおっぴろげで
 弓を引く仕草と足場を固めるブラフ-アクション。
 ちょいと天照大御神の素敵なイメージが崩れそう・・・。
 こんな格好で速須佐之男命を待ち受け彼に詰問します。
 「何でここに来たの?」
 幼気(いたいけ)で草食系の彼は
 事細かく彼女に申し開きをします。
 ここら辺が男性の弱いところ。
 とろとろいい訳がましく有ることある(ない)こと説明してしまいます。
 (ない) 場合は女性はすぐ察知可能ですのでお気をつけて。
 彼女の問いへの答えは
 「お母さんに逢い行こうとしたらおとうに怒られた。でも逢いたい。」
 で十分なのです。
 ぐたぐた云わず簡単明瞭でぼろが出ない筈?
 今回のタイトルを 「天照大御神が美武装」 としましたが大間違い。
 確かに彼女はアーミールックにしましたが、
 武器装備、弓矢・核弾頭は持ち合わせておりません。
 このブラフ (脅し) が日本女性の真骨頂なのかしらん。  続く。

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2009年11月 8日 (日)

超ー激怒、伊邪那岐大御神 247

 須佐之男命に本音を口にされた父の伊邪那岐大御神は
 超ー激怒。「あっちへ行け・ここから出てけ」 ですもの。

 爾伊邪那岐大御神大忿怒 詔然者汝不可住此國
 乃神夜良比爾夜良比賜也(自夜以下七字以音)
 故其伊邪那岐大神者 坐淡海之多賀也

 どうも分別が付き過ぎた保守系お父さんはこれだからいけません。
 世 (人・もの) の本質をつかれる。
 ご自分の思い通りにならない。
 ご自身の内心をえぐられる。 等々には
 瞬間湯沸かし器の如くかんしゃく玉を破裂させます。
 現代用語では 「オヤジ切れ」。
 白のものを黒と云わざるを得なっかった時空を長時間過ごされた
 お父さんは 「本質」 にはご自分が云えなかった分だけ
 からっきし弱いものです。
 更に、世の中思い通りにならない事はよーくご存じな筈。
 その腹癒せをご子息に向けるなんて・・・・・。
 一寸先、一秒後が分かんないから楽しいのでは・・・・・。
 酸いも甘いも味わって来られた大人のお父さんは
 少なくてもご子息の若々しい見解をお聞き下さらないと。
 泰然自若で聞き上手が 「ステキなお父さん」。
 と云うよりそれが 「家族」 の本質の一つでは。
 悲しいかな、伊邪那岐大御神は頭部の毛細血管をも破裂させ
 突如、お亡くなりになります。
 これだから、ほんと、一秒後は闇の世界。
 「注意一生、怪我一秒 (世の中では注意一秒、怪我一生)」   
 ちょいと古すぎるか。
  「温故知新 (久方ぶりの四文字熟語)」 も有りますし。 
 もっと太古。
 「いよっ、太鼓持ち (ブラスバンドではなし)」
 せめてこれ位のお父さんじゃないと・・・・・。
 国を憂いて闘ったと云われているその当時学生だった
 お父さん達は
 今現在、何をお考えになっておられるのでしょうか?
 政府御用達のりっぱなジサマとして鎮座されているのかしら
 一方、伊邪那岐大御神は
 「坐淡海之多賀也」 と云うことで
 滋賀県犬上郡多賀町多賀の 「多賀大社」 に鎮座なされている由。
 いよいよ次回は日本の最高神とされている
  「天照大御神」 が華々しく登場してしまいます。        続く。

 web上では
 国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P21の12行目で
 確認可能ですので是非ご覧下さい。

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2009年11月 1日 (日)

母を慕う建速須佐之男命 246

 何故か、古事記作者、稗田阿礼は
 月讀命の説明をここでは展開致しません。
 敢えて展開しなかったのは彼が長兄で父親の命令に
 忠実に従った凡庸なお方だったやも知れません。
 その点、弟の速須佐之男命は兄とは全く大違い。
 長期間に渡り、彼は駄々っ子の如く泣き続けたと記されています。
 
 八拳須至于心前 
 啼伊佐知伎也(自伊下四字以音 下效此)
 其泣状者
 青山如枯山泣枯
 河海者悉泣乾
 是以惡神之音
 如狹蝿皆滿
 萬物之妖悉發 

 彼の 「泣き」 に依り、
 緑繁る山々の樹木は枯れてしまい
 とうとうと流れる河や海の水は涙となって乾いてします程
 この為、悪い事の音調が満ちあふれ
 ありとあらゆるおよずれ (妖) 言が世に蔓延 (はびこ) った。
 
 とは云うものの世を惑わす偽り事 (妖言) は
 何時の世にも存在するのは当たり前。
 取り分けどうのこうのも大人げないと思いますが・・・・・。
 次で伊邪那岐命は伊邪那岐大御神と表現を変えられます。
 お嬢さんが天照大御神だからかしらん。
 
 故伊邪那岐大御神
 詔速須佐之男命 何由以汝 
 不治所事依之國而 哭伊佐知流 
 爾答白 僕者欲罷妣國根之堅州國故哭 

 父の伊邪那岐大御神は息子の速須佐之男命に泣きの訳を
 問いただします。
 (父の命を聞かない為に 「建」 の形容詞が省かれている。)
 その問いに対する速須佐之男命の答えは
 「お母さんに逢いに行きたい。」
 とっても素朴で素直なもの云ではありませんか。
 とは云うものの、「僕者 欲罷 妣國根之堅州國」 の表現。
 I want to go 迄は良いとして、妣國根之堅州國の解釈。
 概して、歴代の古事記研究者は、
 妣國根之堅州國を亡くなった母が眠っている黄泉国と規定。
 妣は当用漢字ではありませんが、亡き母の意。
 根之堅州國については色んな解釈 (後理屈) が・・・。
 太安万侶が妣國黄泉国と記述して下されば
 何も問題が生じなかったのですが、根之堅州國と敢えて変容。
 ホントの所は稗田阿礼さんに聞いてみないと・・・・・、
 何れにせよ、
 (困った時) 「母に逢いたい」 は
 わたくし達日本人の心に抱き続けている最後の綱。
 「泣いてくれるなお母さん。」 は存在しても
 「怒ってくれるなお父さん。」 のフレーズはありません。
 ましてや、乳に合いたいはあっても?父に会いたいは・・・。 続く。

  web上では
 国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P21の6行目で
 確認可能ですので是非ご覧下さい。

追 本日は偶々、第140回 天皇賞(秋)(GI)
     又々、男の中の男、
     横山典弘騎手 (ノリチャマ) がやってくれました。
     彼の勝利騎手インタビユー
     「馬を大事にしていれば、(何時か) 答えてくれる。」
     何と死語を復活してくれました。

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