黄泉の国からの脱出劇 238
見てはいけないものを見てしまった伊邪那岐命。
黄泉の国 (大地の中) からの脱出劇の展開は。
於是伊邪那岐命見畏而
逃還之時
<伊邪那岐命はおそれおおくて畏 (かしこ) まり、
逃げ還ろうとした際>
其妹伊邪那美命言
令見辱吾
<伊邪那美命は間髪を置かずおっしゃった。
「わたくしを辱 (はずかし) めたわね」 と>
「辱める」 は見てはいけないものを相手の許し無く見てしまう事。
従って、どうしても見たい場合は
相手の許可 (イイワヨ) を得ればよいのです。
ここが相手の気持ちを慮る糸口って事。
伊邪那美命は伊邪那岐命に対し
「あなたの勝手でわたくしに傷つけ (恥をかかせ)、お一人で
逃げ帰ろうとしたってそうはいかないわよっ。」 てな剣幕で
彼に追っ手を送り込みます。
即遣豫母都志許賣(此六字以音)令追
豫母都志許賣 (よもつしこめ) と読みなさいとの注。
概して、黄泉国の醜女とされ (梅原猛さんもこの解釈)
とっても容貌が醜い女性とされています。
しかしながらコレは皆さん勘違い。
「しこ」 は漢字で醜・鬼とされています。
因みに、大国主命の別名は葦原醜男神。
「しこ」 には力強い・頑丈と云う意味があります。
葦原醜男神は日本の力強い男の神様。
もし、容貌が醜い女性なら
より伊邪那岐命の逃げ足が速くなる筈?
伊邪那美命が放った間者ゆえに
男勝りの力強い女性にならないと。
ただ、如何せん、この女性は力持ち特有の大食漢。
美味しいものには目が無く、ついつい
爾伊邪那岐命取黒御鬘投棄
乃生蒲子
是○庶食之間逃行猶追
亦刺其右御美豆良之湯津津間櫛引閉而投棄。
乃生笋等
是拔食之間逃行
伊邪那岐命に食物への変身術を使われ
お刺身にできる程の若筍などを土から抜いて貪り食すことに。
これに依り伊邪那岐命は
まんまと豫母都志許賣の追ってを逃れます。
この状況を逐一ご覧になっていた伊邪那美命は
これはいかんと次なる戦術に。 続く。
web上では
国立国会図書館 電子図書館蔵書の古事記上巻P16の4行目で
確認可能ですので是非ご覧下さい。
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