縹 時・女心の移ろい 8
647年頃以前には既に
「あお」 の概念は文字上は分離していた事になります。
紺 (ふかはなだ) と云う文字も出現しています。
「ふかはなだ」 とふりがなしました様に、
今の 「こん」 でなく、この時代には今の青は
「縹(はなだ)」 色と云う表記でした。
それの深い色が今現在の紺色です。
平安中期時代、清少納言の枕草子に出てくる 「あお」 の表現、
頭の中将の、すずろなるそら言を聞きての段
「いせの物語なりやとてみれば、あおきうすやうに、いときよげに
書き給へり。」
めでたきものの段
「六位の蔵人。いみじき君達なれど、えしも着給はぬ綾織物を、
心にまかせて着たる、あおいろ姿などのめでたきなり。」
宮の五節いださせ給ふにの段
「辰の日の夜、青摺の唐衣、汗衫をみな着せさせ給へり。」
これらの 「あお・青」 は今の 「青緑」 色になります。
この表現には、太古の観念・概念の感性残像があったやも。 続く。
縹は別名(花田)で 「貴人も庶民も白妙の衣と赤裳」 で紹介しました
万葉集、白妙の衣を月草の花汁で摺って染めた色。
今は 「露草(つゆくさ)」。 その色は落ちやすく、
時の流れ(うつろい)・女性の心(うつろふ)?に例えられたとさ。
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