吉祥天女 七
衣の下にお召しになるもの以外はこれでおわり。
『奈良西の京、薬師寺の宝物に、吉祥天女の画像といふ一幅あり。
その服装、端麗優美を極めたるが、全然天女の服装とも見えず。
ある説に光明皇后の尊影を、
吉祥天女に擬して図し奉りたるものならむといふはさもあるべし。
必ずや当時代貴人の礼服の態を資りて、
作れるならむと思はるれば、写してここに載す。
先づ頭髪の様は鈿釵宝髻なるべく、
肩にかけたる領布(ヒレ)及ひ胸元に垂れたる長紐は、
天武紀十三年(674年)の詔に、
長紐結紐任意服之とある紐ならずや。
又上衣の袖の長きは謂はゆる大袖にて、
下の小袖は、八寸以上一尺以下と
制せられたる当時の寸法にかなへるが如し。
猶注意せらるるは、裳のさま也。まとへる褶は、
後世の裳の如く襞を折らざる平裳に見え、
前に垂れたる裙は、吉祥天女の像にある様式になりをれども、
その模様は、緑地に紫蘇芳の纈(ユハダ)にかかれたるなど、
令義解の解説にたがはず。
その上裙の下に、褶の下端の顕はれたる、金銀製のくつをはきたる、
すべて衣服令の記録・集解の説明に適中するを想ひ見るべし。』
と関根正直さんはお書き下さっています。
絵は正直さんご自身お書きになったのか不明ですが、
頭の上の両サイド部分に伸びている線には驚きです。
昔、薬師寺で買い求めました 「薬師寺吉祥天女画像」 には
その線は見つけられませんでした。
関根正直さんの写された絵をご覧下さい。
重修 装束図解 服制通史
関根正直 昭和7年5月5日
吉祥天女の大きな絵
(彩色画像絵完成済)
今年の七月よりスタートして早六ヶ月、
年の瀬を迎えました。
ご覧頂きました皆様には、
深く感謝申し上げます。
皆様におかれましては、
良いお年をお迎え下さい。
それでは、来年も宜しく御願いたてまつりー。
ZIPANGU スタッフ 一同。
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