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2005年8月15日 (月)

みやびと服(顔料と染料) 五

 今回も困ったお話です。
 「絵の色」 と 「平安衣装の色」 との違いです。
 三で語りましたように、「絵」 は顔料での着色です。
 「絹の布」 は染料で染められています。
 又、色づけが 「絵」 は紙の上に、「衣装」 は布の上です。
 おの(自)ずと同色にはなりえません。
 がい(概)して、顔料と染料を比べれば、
 鮮やかさ(彩度)と明るさ(明度)において、
 染料は顔料に劣ります。
 「劣る」 は優劣の劣ではなく、表現のしにくさです。
 布はとても発色性が悪いのです。
 それでも絹の布は麻・綿の布と比べ
 格段と発色性は富んでいます。

 今現在においても、この問題はついて回っています。
 私たちの仕事に立ち入りますが、
 服を作製する際、基本的に
 ファッションデザイナーを職となさっておられる方は、
 まずデザイン画を作製されます。
 中にはそのデザイン画に着色されて表現なさる方もおられます。
 おおむ(概)ねファッションデザイナーさんは、「我がまま(儘)」 です。
 そうでないと 「やってられない」 のが実状なのかも知れませんが。
 そこでです。
 布を決定して色づけの作業の段階で、たちまちトラブル発生です。
 生地やさんは、デザイナーさんの 「デザイン画」 と 「言葉」 を
 斟酌(しんしゃく)して、
 今日この頃のような蒸し暑い染め場で色出しをして下さいます。
 (業界ではビーカー出しと言います。)
 一色につき、二点から三点程のビーカーをお作り下さいます。
 それを見て、
 かのデザイナーさんは
 「このデザイン画の色と同色かビーカー色との
 中間にしてちょうだい(頂戴)。」
 とだだ(駄々)をこねるのです。
 優れた化学染料がある今時でも 「これなんです」 もの。
 トホホっと。
 (決して当社のデザイナーではございません。)  次回へ。

          十二単の「絵」はこちらへ。

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